俺、超ラッキー?
神様どうか助けて下さい
(なぜ、なぜ私にこんな仕打ちをするのですか)
スクールバックから教科書やらノートを取り出しながら私は祈った。
(いつもは、こんな早い時間にいないのにな…)
廊下側の一番後ろの席。私はその西沢君のテストを(31点)見てしまった。
(き、気まずい…)
チラッと後ろにいる西沢君の席を見る。何やら彼は頭をかかえて唸っているようだ。
(こ、こわっ!)
私は前を向いて、机に教科書を入れる作業を再開する。
(は、はやく誰かこないかな〜。)
そわそわしながら時計を見る。皆が登校してくるにはまだ時間がかなりある。
(このままじゃ居づらいし、教室出てトイレにいこっと)
そう思って立とうと思った時だった。
「黒田さんっ」
体が硬直した。
ゆっくりと顔を上げると、そこにはやはり西沢君がいた。
「な、何?どうしたの?」
(やっぱりテストの事だよね。)
「えっと、あの、昨日、テ、テスト…。や、やっぱりテストの点数、見たよね…?」
ポケットに手を突っ込みながら恥ずかしそうに笑う。
「う、うん。誰のか分かんなかったから。点数まで見るつもりはなかったんだけどっ…。ごめんねっ。」
「いっいや。悪いのは俺の方だし。むしろ、拾ってくれた黒田さんに感謝だよっ」
(テスト拾ってくれなきゃ、話すことも出来なかったと思うし)
「…そっか。よかった〜。」
彼女は安心したようにため息をついた。
「俺ってバカだから、授業さっぱり何だよね」
「じゃあ私が教えてあげるよ。教えられる範囲でだけど。」
彼女は優しく微笑んだ。
(か、かわいい〜)
俺はニヤけるのを必死でこらえて時計を見た。
(よし。まだクラスのやつら来る時間じゃねぇな!ラッキー!)
「う、うん。じゃ頼むな。今教科書持ってくるっ!」
俺は急いで自分の机に行き、中から数学の教科書とノートを取り出した。
(俺、今日超ラッキー!?)