1/1
プロローグ
春の野原に二人の子どもが座っている。
そよそよと風が吹いている。
「ねぇ、悠遥は私のことどう思ってる?」
「もちろん大好きだよ」
「本当に?」
「うん。本当だよ」
「ふふっ、ありがとう」
二人ともそっくりな顔、綺麗な黒髪、野原に咲くどんなに可憐な花よりも誰もが振り返るような可愛さがあった。
まるでお人形のようだった。
「大好きなら、私に…キ、キス、してよ」
「…えっ、恥ずかしいな」
頬を真っ赤に染めて二人は向かい合う。
それから、ゆっくりと近づいていき。
唇と唇が触れるか触れないかという一瞬だけのキスをした。