一章2p
シロネと転校生の間に、一体何が…?
かれこれとコトネと話しているうち、あっという間にHRの時間になった。
教室の扉が開き、魔教師が入ってきた。いわば先生である。
「 皆さんおはようございます。早速、今日から学園生活を共にする新たな転校生を紹介しましょう。」
「わぁーっ」
「どんな人?男?女?」
「静かに。どうぞ、転校生さん」
わざとらしく開けっぱなしにされた扉から、誰かが入ってきた直後、シロネは妙に胸騒ぎがしたのだった。
「…………?」
シロネは転校生をジッと見つめた。
「………………っあ!!」
空気に掻き消される程度の声があがる。
「………ッあ…」
心臓は口から飛び出しそうになるくらい大きく跳ねた。
シロネは目を疑った。
何度も目を擦る。しかし、目に見えるのはまさしく……
「ど…して………こ…こに………」
思う様に舌が回らない。
手と足が震え、奥歯がカチカチ音を立てた。手に力がこもって、肩があがる。
ーそんなわけない、あるはずがない
落ち着け、自分!!ー
目をぐっと瞑った。
ー別人に決まってるー
しかし、その声を聞いたとき、
名前を聞いてしまったとき
「間白 娑織{ましろ さおり}です」
シロネは目の前が真っ白になった。
**********************************…
とある時、如月シロネは10歳だった。
普通は学校で魔術を習わないといけないのだが、シロネは元々ソシツがあり、両親と日々特訓を重ねていた。
魔術界でもかなり有名で……
シロネは当時、えらく勝ち誇っていた。
大体の勝負は勝てるし、魔術も安定しているし。
いい気分だった。
この年で、私より強い人なんていないと思ってた。
そんなある日。
「 あなたが如月シロネ?」
「そうよ。あなただれ?」
「……娑織。間白 娑織。」
「マシロサオリ?」
「この辺で、とても強い10歳の魔術師が居ると聞いてね。」
「それ多分私よ。」
「そう…。じゃあ心無く潰せる。
あなたのこと」
シロネはぞくりとした。
潰す?潰せる?つまり、
「あなた私より強いの?」
「ええ。私は如月より強い自信があるのよ。それを、身に教えてあげる…」
娑織はそう言うと、シロネの知らないポーズで立った。
「あなたは私の何倍も弱いわ…」
「なんで娑織が決めるの!!」
「黙れ。じゃあ、もう立ち直れないようにしてあげる!あなたが居ると、私間白娑織の名が汚れるわ!」
「だから何故…「さようなら、」」
娑織は手を器用にうごかし、魔陣を描いた。
真っ黒の、魔陣………。
「デス・ロット」
途端魔陣はシロネの身の真下までやってきて、シロネを引きずりこんだ。
「ぅ、ああああああああああっ!!」
シロネの叫び声が響き、シロネを飲み込んだ魔陣は、姿を消した。
「ふふ…これで私が一番…いえ、私はもともと強かったのよ………!」
左手の人指し指をたてて、フイッと空をきると、体中ぼろぼろになって、意識を完全に飛ばし、ぐったりと横たわるシロネの姿が…………。
娑織は静かにその場を去った。