第九話「ネクストミクオズヒント! ケチャップ」
西園寺アンジャータ。
彫りの深いイケメンにして自他ともに認める遊び人。脳内メーカー「遊」で埋め尽くされてる事間違い無しの早熟系男子。
再び、そんな彼と学校帰りに一緒になった私。
「どーお?何回ヌイた?」
「をい、ほんとにこの小説に18禁タグ付けるつもりかよ!?」
「それもありじゃねー?もういっそ、とぅらぶるぅ並に少年誌に乱れ舞うおっぱいにしようぜ」
「わけわかんねーよ!」
「まぁまぁ。ミクオ、転校してきたばっかりなのに、なんつーか、友達作るの上手じゃん?まぁ一緒に住んでる水無月(鏡花の事ね♪by澪)は仲良いのは当然としたって、誠も桐条も今や友達だろ?」
二人の顔を思い浮かべてみる。誠は友達だろうけど、桐条はちょっと違うような・・・まぁいいか。
「まぁな。なんかしらねーけど向こうから俺に寄ってくるんだよ。」
「ミクオ、オーラみたいなんが出てんだよ。無害だってオーラ?ほら、俺がこいつと居たら楽しいだろーなってオーラ出てるから皆寄ってくんのと一緒でさ。」
へぇ。ただの遊び人にしてはちゃんと分析とかしてるのね。
「一緒にすんなよ。それに、無害ってどんなオーラだよ。」
「アルセニウスってさ、基本金持ちが通う学校じゃん?っつーか、金持ちの為に建てられた学校なんだけどさ、ほんとは、まぁそこんとこは今はいい。だから癖のある奴が多いだろ?皆、口にしないだけで親同士の関係だったり生徒達の勢力関係だったりにすっげぇ敏感になってんだよ。」
あれ、私の通ってた学校ってそんな設定だったっけ?っていうか、皆そんなに神経質になってた?私も鏡花もぜんっぜん気にしたこと無かったけど。
「はぁ?それ、考えすぎじゃねーか?」
「そう、そこ。ミクオからしたら、こんなの考えすぎ、なんだろ?そういうさっぱりしてる所が無害オーラとなって皆を引き寄せてんだよな。」
なんか、内容だけ考えるとすっごいバカにされてるよね、私。
ちょっとむっとしたけど、でも、なぜか西園寺の真顔を見ていると真剣に分析しているように見える。うーん、これだから遊び人ってわかんないんだよね。
「で、こっからが本題。」
「なんだ?」
「俺の親父がゲーム会社の開発してるのは知ってるよな?」
「知らねーよ」
「で、仮想空間シミュレーターなるものを完成させて、テストプレイをしたがってんだ。」
「はぁ?仮想空間シミュレーター?」
「まぁ、あれだ、ソ◯ドア◯トオ◯ライン、だ、ヴァーチャルリアリティ、って奴だ。」
「ソリッドアルデヒドオフライン?」
「カルボニル基は関係ねぇよ」
「そこでカルボニル基言うのもマニアック過ぎると思うぞ」
「だから、そのテストプレイにミクオ達一行を招待したい、って事よ。」
西園寺によれば、ヘッドギアで電波を使って脳にアクセスして仮想空間を見せる技術はけっこう前に確立しているらしい。で、西園寺の父親率いる開発集団はそのシステムでゲームを実装した、ってワケ。それが運用安定しそうなら、いろんなゲームやらなんやらに応用させていくんだそうな。
「まぁ、まだ試用段階だからな。動かしてみて感想聞きたい、ってレベル。」
「まさか、誤作動起こして死ぬとかねーよな?」
「それは大丈夫、そういう最低限の問題は全てクリアされてんだよ。」
「ふーん。でも、俺の友達なんて、ファンタジーやりたがるとは思えないぞ。」
鏡花はお姫様とかやりたがるかもしれないケド。
「S◯O知ってんじゃねーか、やっぱ」
「まぁな。ゲーム好きな連中なら他にいるだろ?」
「ふふ。だれがファンタジーって言った?」
「えっ!?」
「今回、ミクオ達に体験してもらうのは、ミステリー。」
「ミステリー?」
「そう。殺人事件、さ。」
西園寺によれば、殺人事件を仮想空間で楽しんでもらえるメンバーとして、私たちが最適だそうだ。どういう基準でそうなるのかはわからなかったけれど、なんとなく言いたい事はわかる気がする。
って事で、参加メンバー。
ミクオ 無害系男子。実は女の私が薬で男になっちゃったってのは内緒ね♪
水無月 鏡花 にぎやか系お嬢様。推理は全く期待できないけれど、存分に仮想空間を楽しみそうだね♪
志築 誠 さわやか系男子。きっと殺人現場みておろおろしてテンパるポジションだね♪
桐条 杏奈 高飛車系お嬢様。非日常空間でリーダーシップを発揮してくれそうだね♪
西園寺 アンジャータ 遊び人系男子。深いのは彫りだけじゃないよ♪きっと考えも深いはず♪
犠牲者 一号 犠牲者系男子。きっと初日の夜に無残な姿にされちゃう系だね♪
「・・・犠牲者 一号、ってなんだ?」
「あ、ほら、最初の殺人の犠牲になっちゃうプレイヤーは推理参加出来ないじゃん?だから犠牲者一号君が最初は殺されてくれるんだ。」
私たち六人は修学旅行でたまたま同じ組になった。たまたま、と言っても仲良いメンバーもいるから旅行はすっごい楽しみ♪
しかも、今回の旅行先は湖に浮かぶ孤島のコテージで二泊三日の半サバイバル生活!やったね、きっちり自然の中で生きるすばらしさ、厳しさを学ぼうね♪
・・・しかし、この時私たちは誰も想像していなかった。まさか、ここで命の尊さとはかなさとを学ぶ事になろうとは。
次話、「~推理編~惨劇の幕開け」へ続く!
え?ケチャップ?そうだよ、あれだよ、きっと赤い血が流れる事になるよ!的なヒントだよ!
二週間ほど休養してましたwアルセニウスはまだまだ続くから応援よろしくお願いします。