ひきこもり王子
あれから十年のときが流れた。
俺は今十五歳で、無能王子を今日も元気にやっている。
とまあ、前置きはこれくらいにして、今俺は何をしているかというと、本当にダメ王子をやってる。
何故本当にだめになったかというと、まあ、簡単に引き篭もりやっているのだ。
引き篭もった理由としては、兄妹と専属メイド、そしてわが国の最強の部隊、『戦女神隊』の面々が学校いけと煩いんだよ。
『戦女神隊』の説明を先にしておくと、あれは、女性だけで構成された部隊だ。ちなみに隊長は『六聖』といわれる、最強の一人アミさん、二十歳。まあこの隊長と副隊長、そして『戦女神隊』のエース兼専属メイドのアリア(同い年)が学校いけというんだよ。兄妹も煩いけど特にこいつらは煩い。
「はあ、今更学校にいっても無能王子が来たとかで、いじめになるだろ。逆に力を使えば更にめんどくさくなる」
本当に嫌になるぜ。
「ヴァン様、朝食の準備ができました」
そんなことを考えてるとメイドさんが呼びに来た。アリアだ。
「わかった。ちなみに今日は誰がいる」
「王、王妃様、姫様方、それと、『六聖』のアミ隊長とユリ様です」
「了解。それと、周りに人がいないときは敬語じゃなくていいのに」
「私がヴァン様を呼び捨てにするときは、『二人きり』のときだけです。今は二人きりではありません」
「そうかい。それにしてもユリとアミさんか、めんどくさそうだな」
アミさんはさっき言ったように『戦女神隊』の隊長だ。ユリってのは俺の一つしたの最年少で『六聖』になった女の子だ。ちなみにユリは学校にいってはいるが、不登校で、ほとんど城ですごしている。
「みんなを待たせるのも悪いし、いくか」
俺は、ベッドから立ち上がると歩き始めた。
俺たち家族は基本的に晴れの日は夕食以外、外で食べる。まあその方が気持ちいいし良いんだけど。
城の中庭にいくと、俺以外そろっていた。俺が席に着くと食事がメイドさんたちによって運ばれてきた。それぞれの専属のメイドさんが運んでくれるため、俺のところにはアリアが運んできた。『六聖』の二人には普通のメイドさんだけど。すべて運ばれたところで、父さんが挨拶をし、朝食が始まった。
みんな喋りながら食べてるけど俺は基本的に自分から喋らないため淡々と食べている。これでも十歳くらいまで普通に喋ってたんだけど、みんなが学校に行けといい始めたあたりから少々無口になってしまった話を振られればちゃんと答えるけど。
ここでみんながいけと言ってる学校について説明しとこう。
学校ってのは正式なやつが基本的に一つの国に一つある。個人でやってたりするのはたくさんあるだろうけど、正式なのは一つだ。その学校の名前は国によって違うけど俺の国の学校は『アズラス魔法学園』。魔法ってついてるけど別に魔法だけやってるわけじゃない。単純に魔法の人口が高いからそうついてるだけで。学年は一年から六年まであり、更に上を目指したい人のために研究一年と二年がある。ここには十三歳で入学するため、地球で言えば中学と高校が合体した感じだ。そこにもっと勉強したい人のために短大がついたと思ってくれるとわかりやすい。余談だがこの世界では十六歳が成人だから学園の四年生は進級と成人の祝いで酒を飲みまくったりする。
そしてこの学園には様々な学科がある。
まず、『魔法学科』、『騎士学科』、『武術学科』、『技術学科』、『情報学科』の五つがあり、そこから更に魔法学科なら『火属性科』『水属性科』、騎士学科なら『騎士科』『剣士科』などに派生していく。
授業は基本六時間で一~四時間が普通の共通授業、五、六時間が専攻学科の授業がある。ちなみに一度にいろんな学科は専攻できないけど同じ学科の中なら好きなだけ選べる。けどほとんどが二つくらいしか受けない。理由としては単位が取れないからと他のにてを出しすぎれば自分が一番受けたいものがおろそかになってしまうからだ。
登下校に関しては九割寮からの登校で一割が実家からかどっかにとった家からの登校だ。俺の兄弟たちは家からの登校だ。ちなみに兄さんはもう卒業していて今は父さんの命令で魔物の討伐にいっているため家にいない。しかもその近くにある砦で少しの間過ごすらしいから少し寂しいぜ。魔物ってのはそのまんまで異形の怪物だ。強さはE~XXまである。
俺は当然学校にはいってない。だからみんないけって言ってるんだけど。
そんなことを考えながら飯を食べてると、妹に話しかけられた。
「兄様、いい加減に学校に通ったらどうですか?私はとても寂しいです」
リリアの上目づかい攻撃!ヴァンにクリティカルヒット!
だがここで負けるわけにはいかない!
「そうよ、今からでも遅くないわ」
母さんのお願いのまなざし!ヴァンに追加ダメージ!
くそ、その眼は反則だぞ。
「そうだな、私もきてほしい」
姉さんの珍しいお願い!ヴァンの心は限界だ!
いつもは横暴なくせにこういうときだけそんな風に言うな!
「ヴァン様、私からもお願いします。私もヴァン様と一緒に学校いきたいです」
アリアの懇願!ヴァンは罪悪感のバッドステータスを得た!
アリアは俺の専属だから俺のために学校に行かずに友達もいない。でも学校で習うことはすべてメイド修行の一環として受けたから知識については大丈夫なところが救いだな。
「ヴァン、私も一緒にいきたいです」
ロリっ娘ユリの援護射撃!ヴァンの心は崩壊し始めた!
くそ、ここまでいわれれば仕方がないか。
「そうですよヴァン様、貴方様のような人が学校に行けば私が四六時中護衛しますのに」
アミさんは無表情で鼻血をたらし、ハァハァしながら言った!ヴァンは貞操の危機を感じた!
やはり学校に行くのはやめようこの人、たまに臨時教師するらしいし。
「しかし、さすがにいかないと困るぞ」
父さんの妙の説得力のある声!ヴァンは少し考えた!
う~ん父さんがいうと行かなきゃならないきがするな。
「みんなの言うこともわかるけどいまさら『無能王子』が言ったところで良い、いじめ対象が来たって事になるだけだ。逆に力を使えば後々面倒になるだけだ」
「確かにそうかもしれんが、名を偽ればよかろう」
「いまどきそんなの無駄だよ父さん。やろうと思えば俺のことなんてすぐにばれる」
そのときこんな声が聞こえた。
『おぬしはそれでいいのか?』
この声は…くそ、あの爺か。これでいいかって?よくねえよ。もっと楽しみたいにきまってるだろ。けど下手に動けば大切な人たちが危険にさらされる。
『わしが何のためにおぬしに力を与えたのか考えてみろ』
そうかい、確かにそうだな。それにもし力のことがばれても勝てばいいんだしな。
わかったよ爺。
『礼には及ばん』
その代わり近々天界にいってお前をシめるわ。
『……』
「わかったよ、明日からでも明後日からでも学校にいってやるよ」
七度目の転生、楽しんでやろうじゃねえか。
やっと話がスタート。
感想などお待ちしております。
それでは