パティと山賊(♂3 ♀2 指定モブ被り3)
※ここにある台本は一応残してはいるものの修正とかをしていません。
↓に加筆修正などの調整を加えた台本を置いており、続きもそちらで展開していきます。
http://cobaltvd.web.fc2.com/scriptlist.html
双極シリーズ以外の単発台本などもございますのでお使いいただけると嬉しく思います。
(2013/04/13)
「パティと山賊」──声劇双極魔術第一話
320台本。15分。
・登場人物
台詞数(※被りと合計した数)
↓
23 パティ……♀12歳。この話での主人公。
山賊に売られる。
37 レンダル…♂40代。山賊サブリーダー。凄腕の元傭兵。
実は貴族の六男。それゆえどこか堅い。
21 ドラス……♂30代。山賊。ミレイユを慕っている。
31 ミレイユ…♀20代。山賊。鞭が好き。叫びあり。
18 ヘイン……♂60代。山賊リーダー。頭。
超戦士。おっさんのまま老けた感じ。
モブ(被り指定)
父親/ヘイン役…………♂40代。パティの父。
傭兵/ドラス役…………♂30代。台詞ひとつ。
女戦士/ミレイユ役……♀30代。叫びあり。凄腕の斧使い。
※~役とは~役の人が被ることを推奨、という意味。
※台詞数を気にするなら、女戦士をパティ役あり。
・役表
「パティと山賊──声劇双極魔術第一話」
http://ncode.syosetu.com/n9941w/3/
パティ♀………………
レンダル♂……………
ミレイユ/女戦士♀…
ドラス/傭兵♂………
ヘイン/父親♂………
HPの方に、修正バージョンをUPしました。
続きもそちらに掲載していきますので、ご覧ください。
http://cobaltvd.web.fc2.com/scriptlist.html
*オープニング*
ヘインM:オレはヘイン。山賊のリーダーだ。
本名かどうか、だと?
くだらんことを聞くな。ちまちまと小銭を
稼いでいるオレたちだが、たまに面白い奴に
出くわすこともある。
そのせいで何が起きようと、面白けりゃオレは
かまわんのだが。
今回の話は、パティって小娘を手下が買って
くるところから始まる……。
*深夜、パティの家*
パティ:や! 離して! お父さん! お母さん!
父親/ヘイン役:ぐずぐず言うな! この人たちと
一緒に行くんだ! 後はお願いします。
レンダル:おう。ドラス、かついどけ。
ドラス:へいへい……おら! 暴れんな、このガキ!
パティ:ちょっと! 降ろしてよ! 痛いってば!
ミレイユ:ふふ、元気な娘。楽しみが増えたわ。
*家を出て夜の村はずれ、森沿いを歩く*
ドラス:痛てえな、じたばたすんな!
おいクソガキ、大人しくしやがれ。
お前は売られたんだよ!
パティ:売られた? あんたたち、なんなの?
レンダル:山賊で人攫いで強盗で、今回は
まあ、人買いだな。
名前はパティだったな?
パティM:売られた……
お父さんがくれたこの白い石の首飾り……
これも、あたしを売ったお金で買ったんだ!
こんなもの……いらないよっ!!(森に投げる)
ミレイユ:おや、何か飛んでったね?
ドラス:気にするようなものでもねえと思いますぜ、
姉御
ヘインM:ここでパティが森に捨てた小石……これがまた
妙な代物だったんだ。何しろオレを……
おっと、その先はまだ言わん方がいいな。
とにかく、覚えておきな、白い小石だ。
レンダル:泣き喚くかと思ったが大人しくなった
じゃないか。
おいドラス、肩じゃなくて背負ってやりな。
ドラス:めんどくせえなあ。……あー、わかったよ
レンダルの兄貴。背負やぁいいんだろ?
パティ:やだ。乗らない。……きゃ! 触らないで!
……自分で歩くから、降ろして。
ミレイユ:そのお願いは無理ね。それにしても……本当に
かわいい。お人形みたい。
ちょっと爪を剥いだりしたらどんな……
レンダル:ミレイユ……大切な商品に傷なんかつけてみろ、
お前の首が胴体と泣き別れする日が来るぞ。
ミレイユ:おお怖い。それでもあんた山賊なの?
まるで騎士みたいに堅物じゃない。
レンダル:フン。お前みたいなのは虫唾が
走るんだよ。離れて歩け。
ミレイユ:つまらない男。
パティ:……あの、あたし……。
レンダル:気にするな。手出しはさせねえよ。
パティ:帰りたい……。
レンダル:……なあパティ、お前はいいことをしたんだぜ。
お前を売った金のおかげで弟たちはちゃんと飯を
食えるんだ。
だが帰っちまうと、その金を返してもらうことに
なる。分かるか?
パティ:うん……。あたし、これからどうなるの?
レンダル:まだ決まってないが、どこかの金持ちに買われ
るんじゃないか?
そのあたりは頭が決める。
オレたちには分からん。
パティ:そっか……。
レンダルM:いけねえな。
商品だってのにどうもこの娘には肩入れしちまい
たくなる。
……妹と似ているせいか。肩までの金髪に、
声までよく似てやがる。……畜生。
*山賊のアジトの洞窟*
パティM:アジトの洞窟は湿った臭いが染み付いたところ
でした。
外の光は射し込まない。もう何日になるだろう?
他の子たちも誰も口を利かない。
ここは、そういうとこなんだ。
ドラス:おら、飯だ! 残したっていいことはねぇぞ。
いいか、残すなよ?
ミレイユ:ドラス、パティはどこ?
ドラス:姉御、あの娘には関わらない
方が……
ミレイユ:どこ?
ドラス:……左奥です。
ミレイユ:パティ、ここにいたの。
ねえパティ、お姉さんね、他の子があんまり
つまらないから、どうしてもパティと遊びたく
なっちゃったの。
パティ:……遊びたくない。
ミレイユ:ふふ。強情な娘って好きよ。
パティは確か12歳よね?
男と女の話に、興味はない?
レンダル:おい、何をしてる!?
ミレイユ:……ちっ。ちょっと話をしてただけよ。
レンダル:消えろ。
ミレイユ:……パティ、また後でね。
レンダル:ようパティ。どうした? あんまり元気がねえな。
パティ:元気でいられると思う? 捕まってるのに。
レンダル:そいつはそうだな。
パティ:……夢を見たの。助けが来る夢。
レンダル:……そんな夢は、忘れちまった方がいい。
パティ:助けてくれたのはね、レンダルだったよ。
レンダル:……
パティ:……ほんとだよ。怒った?
レンダル:いいや……少し、オレの昔話をしようか。
拒否は認めん。
パティM:レンダルは都合が悪くなるとすぐ昔話を始める。
でも私は、それが嫌いじゃなかった。
レンダル:あれはオレがまだ傭兵を始めて間もないころ
だった。女戦士ってのと初めて戦ったんだ。
なめてかかったらとんでもないしっぺ返しを
食らった……
*回想・砦の制圧戦*
傭兵/ドラス役:ゲハッ! この……ア……マ……
女戦士/ミレイユ役:次にこの斧のサビになるのは
どいつだ?
レンダル:おもしれえ、できるもんならしてみろよ。
女戦士/ミレイユ役:お前だな。雷火一閃!!
レンダル:くっ! 受け流しても剣を持ってかれそうに!
本当に女か!?
女戦士/ミレイユ役:昇竜三旋!!!
レンダル:っとぉ! 敵の目の前で回転だぁ?
隙だらけ、おらっ!
女戦士/ミレイユ役:狙い通り!
レンダル:剣だと!? やべ、手が痺れて……
女戦士/ミレイユ役:隙だらけはお前だ!
石柱斬!!!
レンダル:おりゃ! へへ、武器は剣だけじゃねえぜ?
女戦士/ミレイユ役:ぐ! 蹴って間合いを……!!
だったらこれで……波涛連斧!!!
レンダル:ぐぅ! っとぉ! ぬあ!? ちぃっ!!
……はぁ、はぁ、大重量の斧の往復斬撃
……付き合ってられるかよ!
女戦士/ミレイユ役:逃がすか! ハァァァ!!
レンダル:ぐっ! 受けたぜ……力比べだ!
がぁぁ……くっ! 押され……お?
へへ……聞けよ、この歓声。
勝どきからしてあんたらの負けだな。
さっさとずらかった方がいいぜ?
女戦士/ミレイユ役:……クソ! そのツラ、忘れんぞ!!
*回想終わり*
レンダル:まあ、勝負にゃ負けたが戦にゃ勝った
ってな、そんな話さ。
パティ:ふうん……レンダルより強いんだ。
おっかないね……。
レンダル:昔の話だ。たまたま同じ陣営に雇われたことが
あってな。
酒の勢いで賭け試合になったが、そんときには
オレの方が上だった。
さて、退屈な話はこのへんでしまいだ。
パティ:また続き、聞かせてくれる?
レンダル:……気が向いたらな。
パティ:うん。じゃあ、聞かせてね。
*頭の部屋*
ミレイユ:納得行かないよ!
なんで頭はレンダルに甘いのさ!?
あたいの方が仲間になったのは早かった
じゃないか!
ヘイン:強いからだ。だからオレの右腕にした。
文句があるか?
ドラス:それにしたって、レンダルはつけあがってる!
あいつが睨んだだけで女も金目のもんも、
ひとつ残らず没収だ!
ヘイン:分配はしてるだろう?
ドラス:女は分配してねえよ!
ヘイン:ドラス……そんなに文句があるなら、直接言え。
ドラス:だから言ってるじゃないすか!
ヘイン:オレにじゃない。レンダルにだ。
ドラス:……そ、それは……
ヘイン:できないなら吠えるな。
ミレイユ:クソが! あたいは言ってやる!
いいや、それだけじゃすまない!
決闘だ!
ドラス:姉御!?
ヘイン:……好きにしろ。少しは面白いものを見せろよ。
*洞窟の外、夜のかがり火を山賊が囲んでいる*
レンダル:本気か?
ミレイユ:当たり前だ! 手ぇ抜きやがったらぶち殺す!
レンダル:お前では殺せん。
ミレイユ:この野郎! 手を抜かなくてもぶち殺す!!
ヘイン:吠えるのを見てたってつまらん。始めろ。
ミレイユ:そら、踊りな! サイドワインダー!!
レンダル:足狙いか、くだらん。
ミレイユ:速っ!?
レンダル:剣槍十刺。
ミレイユ:ちぃっ! スティンガー!!
レンダル:今度は腕か。鞭が縮むぞ?
ミレイユ:くっ! 本当に切りやがった……!!
レンダル:闇疾風!!
ミレイユ:う……あ……
ドラス:一瞬で近づいて喉元に剣先……終わったか……。
レンダル:頭?
ヘイン:……ふん。つまらん見世物だった。
ミレイユ:も、もう一度、チャンスを……頭!
ヘイン:殺れ。
ミレイユ:か……は……。
ドラス:姉御……。
*半月後、頭の部屋*
レンダル:頭……失礼します。
ヘイン:どうした?
レンダル:ドラスが買い手を見つけました。
ドラス:ゲーリックって商人です。ひとり金貨40枚で
話をつけやした。
ヘイン:よくも悪くもない、か。病気のものはいないな?
ドラス:へい。嫌がっても飯を食わせてやしたから。
ヘイン:今日の内に連れて行く。オレも久しぶりに街に
出よう。
それにしても、つまらんな。
ドラス:街に行けば頭に付いてくる女は
ひとりやふたりじゃねえでしょうに。
ヘイン:そういうことじゃあない。……まあいい。
*アジト内、牢*
パティ:ん……ふあ。……変な感じ……眩しい夢
……なんだっけ?
ドラス:おう、起きろ。飯だ。今日は多いが残すなよ。
パティ:なんで多いの?
ドラス:……けっ。レンダル様に教えてもらうんだな!!
ヘインM:夕方が近づくにつれ、洞窟内は慌し
く出発の準備を始めた。
準備は問題なく終わり、オレたちは日没前には
商品をつないでアジトを出た。
*荒野*
パティM:あれ? なんだろ? 結ばれた手首に何か
挟まってる……。
うーん、よいしょ、よいしょ、あ!
ヘインM:パティの手の中に転がり込んだのは……
覚えているか?
森に投げたあれだったんだ。
パティM:な、なんで!? 首飾りの白い小石……捨てた
のに……なんで、
あたしの手の中に戻ってきたの……?
続く