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伊藤の4月3日①

入社して3日目、新入社員研修は春のぬるい風に包まれていた。


研修センターと呼ばれる建物は本社の一角にある。昭和に建てられたのだろうか、壁のヒビ割れが気になるが耐震工事で柱が外から補強されている。薄い窓枠は真冬では凍えるだろう。


今日は春にしては暖かい、暑いくらいだ。昼食時間が終わった午後1時過ぎ。眠気に誘われ隣の男は机に突っ伏して寝ている。他の研修ではこういった場面では「社会人は学生とは違う」と強く叱られる場面もあった。


この時間の講師(といっても社員)は特に指摘もせず「今日話す内容はすべて資料に書いてあります」「眠くなったら上着脱いでくださいね」と自らもワイシャツ姿になったのだった。


その薄そうな胸板とレーザーポインターのボタンを押す細い指を眺める。人事評価の説明を資料通りにこなす講師が、これまでの時間の講師と比べると若く心もとなく見えた。


ただ講義の最後に「有給休暇は使ってください」「自分の心と体を大事に」と資料ではなく前を向いて語った。意外に真っ当な人なのだろうか。


休憩をはさみ、後半はグループワークを行い夕方に講義は終わった。まだ残業はない。

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