表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部完結】ざまあされ悪役王女の崖っぷちTS転生譚 ~平凡男子大学生オタク俺が、真の聖女を追放してざまあされて死ぬゲスイン王女に転生してしまった件~  作者: かべ
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/126

女王編:22 襲撃

(本当に泣かれるかもな……)


 傷は残らなかったけれども、アインハードあたりから告げ口がされる気がする。

 即位する前の騒動で、俺はシャルロットのことをさんざん傷つけてしまった。あの子が悲しい顔をするところは見たくない。


「……お怪我はやはり」馬車に同乗しているアインハードが、不意に口を開いた。「グレンロイ・ロゼーを庇ってのものだったのですか」


 あれからずっと会話という会話がなかったので、少し動揺する。それでも、気まずいからと答えないわけにもいかず、俺は「そうだ」と静かに頷いた。


「お前は、また、身体が勝手に動いたのかと聞いたが、それだけじゃなかった。打算もあった。あそこでグレンロイを見捨てていたら、のちの政治に悪影響を及ぼすかもと」


 無理やり女王がグレンロイ・ロゼ―を護衛にしたから、護衛であるイーノ・スターニオをそばから少しでも離したからグレンロイが死んだのだと、そう言われることを恐れた。


 あえて助けないことで、自分の中で何かが崩れてしまうということを恐れたというのも、たしかにある。

 だが、俺は善意や信念であいつを守ったんじゃない。


「……しかしあの男は曲がりなりにもあなたの護衛だったのでしょう」

(あの男呼ばわり……)

「であれば、護衛代理であったにもかかわらず、女王に傷を負わせた無能ということを、人の前で暴露されたことになります。城内の噂から察するに、その場面はある程度の人数が目撃していた。あの男なら、助けてもらったことを感謝するどころか『汚名を背負わせられた』と逆恨みしていてもおかしくはないと、そう思いませんか」

「う……」


 そう言われればそうかもしれない。


 グレンロイが高いプライドを持つ馬鹿であることはわかり切っている。ロゼ―侯爵もどちらかというと日和見の貴族だが、小娘と俺を侮っている人間だ。その小娘に恥をかかされたと逆に恨むようになるかもしれない。


(はあ……)


 見捨てたことが悪いことだったと、思いたくはない。

 だがなんとも、リスクばっかり高い選択肢を選ばされた感が拭えないな。


「……怒ってるか? アインハード」

「それはおわかりになるんですね」


 恐る恐る聞いてみれば、帰ってきたのはその返事。

 『それは』、とは……。

 い、いや理由もちゃんとわかってるぞ? 俺が不甲斐ないことが腹立たしいんだよな?


「……本当なら、こんな、言葉にせずもわかれというような女々しいことはしたくないのですが」

「え?」

「今回ばかりはあなたが悪い。俺が何に怒っているのか、少しはご理解いただかないと、困ります」

「……」


 今の俺の理解じゃ違う、ってことか? それとも謝意が足りない? 


 冷たくされるときついものがあるのは、俺が心のどこかで、アインハードをいつの間にか、友人のように思い始めていたからなのだろうか。

 ちょっとしょんぼりして項垂れていると、ふと、アインハードが立ち上がる気配がした。アインハードは長身なので、立ち上がると頭が天井に触れそうだ。


「……どうしたんだ?」


「――御者! 止めろ!」


「えっ、おい、アインハード⁉」


 突然、アインハードが叫ぶ。同時に防音の魔術を解除したので、御者にも声が聞こえたのか、馬車が急停車する。

 思わずバランスを崩した俺をアインハードが支え、囁いた。


「囲まれています」

「なんだと……⁉ どういうことだ? 囲まれるまで接近に気付かなかったのか⁉ お前が……」


 窓のカーテンを少し引き、合間から外を覗く。確かに囲まれている。

 身なりはあまりいいとは言えない。いかにも山賊といった風体だ。だがおかしい。いくら山賊といえど、王族の馬車を襲うとどんな報復ばつがあるのかわかるはずなのに。


 それに、何故だか、異様に殺気が鋭い、ような――。


「見た目で誤魔化されぬよう。あれは手練れです」

「手練れが山賊に身をやつしているのか? 何のために――」

「来ます。……俺は外で応戦します。陛下は中で馬車に結界を!」


 馬車から飛び出したアインハードが、魔力を剣にまとわせ賊に斬りかかる。剣劇音を聞きながら、俺は今あるありったけの魔力で守りの結界を馬車にまとわせる。


 鈍い金属音と、低い悲鳴。


 一体多数とはいえ、アインハードを相手によく粘る。もちろん殺さないようにアインハードが加減をしていることもあるのだろうが、それにしても山賊とは思えない技量だ。高位の貴族、あるいは高位の貴族のもとで剣を学んだとしか思えない洗練された動き。


 どういうことだ? 貴族が俺を襲って? 何故? 暗殺が目的か?


 いや、暗殺の可能性は低い、はずだ。

 俺を飼い殺しにしたい貴族は多くても、殺したい貴族はあまりいないはず。対外的に俺は月の神子だからだ。

 それなのに。


「終わりました」

「イーノ……」


 少し息が上がっている様子の――それでも返り血のひとつすら浴びていない――アインハードが、縛り上げた大柄の男を馬車の中に転がした。目立った怪我はしていないので、恐らく彼があえて魔術で昏倒させたのだろう。


「恐らく指揮官です。王都でしかるべき人物に引き渡しましょう。……馬車には賊全員は乗せられないので一旦縛って放置していますが、これを連れ帰れば情報の方は問題ないかと。狭くなるでしょうが、構いませんか」

「それは大丈夫だけれど……」


 一体、どういうことだ。

 何もわからず、それだけが、恐ろしい。





 ――しかし、俺が襲われた理由、それは王城に帰ってすぐに理解させられることになる。


 俺が東方でノヴァ=ゼムリヤの相手をしているそのさなか、


 法務大臣兼内務大臣ダンネベルク公を筆頭に、

 外務大臣リストルーヴ侯、財務大臣ロゼ―侯が反逆に起ったというのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あ、戦犯どころじゃなかったww
[一言] こう言ってはなんですが反乱を起こされたほうがむしろ対処しやすいような・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ