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第22話 デートを終えて(ルーファスside)

※読む前の一口メモ(初登場10話)

 

 エドワードはルーファスの親友で護衛役です。

 公務以外の場所では、気の置けない仲。

 夜、自室にて。


「今日は本当に楽しかったなぁ~」


 アメリアとの視察を終え、ルーファスは幸せな気分に浸る。

 その脳裏に浮かぶのは、アメリアの愛らしい笑顔。


「……良かったじゃねぇか。お前がそんな顔をするくらいだから、よっぽど楽しかったんだな」


 ソファーでくつろぐエドワードが、楽しげに声をかけてきた。

 ルーファスはフッと笑みをこぼす。


「もちろんだ。アメリアの反応がいちいち可愛くて、本当に癒されたよ。だから思わず楽しませたくなるんだ」


 得意げなルーファスと対照的に、エドワードは眉をひそめる。


「ん……? まさかお得意のサプライズ癖が出てないだろうな? あの子はお前のことを信頼しているみたいだし、あんまり驚かすと嫌われちまうぜ?」


「…………大丈夫だよ、もう失敗したから」


 ルーファスは肩を落とし、残念そうに呟く。

 それから手品の件を、エドワードに簡単に伝えた。


「ははははっ! そりゃまた傑作だ! でもそんなことをされたら誰だって驚くだろうさ。俺ならぶん殴っているところだ」


「……本当に失敗だったよ。もう少しやり方があったと思うんだけど、アメリアに楽しんでほしくて夢中になってしまったんだ。今思うと反省しかない」


「でも別にそこまでする必要はないんじゃねえか……? アメリアは素直で良い子なんだろ? 普通にしているだけで、十分喜んでくれてるはずだと思うが……」


 ルーファスは軽く息を吐き、首を横に振る。


「――それでは駄目なんだ。もっと喜ばせてあげたいし、色々と楽しませてあげたい。アメリアが喜ぶ姿を近くで見たくて仕方がなんだよ……これまでの彼女の苦労を考えれば尚更ね。それに悲しいことに、傍にいると色々なものを諦めて生きてきたのが良くわかってしまうんだ。だからせめてこれからは、たくさん笑って欲しい……私はそのための労力は厭わないつもりだよ」


「……なるほどな。それは確かに分かる気がするなぁ……だがな、それでアメリアに嫌がられてしまってたら本末転倒だろうが。そこはちゃんと考えとけよ?」


「もちろんだよ。今後はアメリアに悲しい思いは絶対にさせない……!」


 ルーファスの固い決意を聞き、エドワードは満足げに笑う。


「はははっ! そっかそっか。とりあえずは一安心だな。アメリアもきっと、今回は驚き過ぎただけだろうからな」


「そう言ってくれると助かるよ……」


 ルーファスがホッと安堵のため息。

 エドワードはニヤリと意地悪な顔を浮かべた。


「――そういえば、明日は国王陛下との面会があるんだっけか? しっかりアメリアをアピールしてこいよ?」


「あぁ、その面会か……実は少し不安なんだ」


 弱音を漏らしたルーファスを、エドワードは意外そうに見つめる。


「……お前が独断で秘書官を決めた件について、一応正式に報告するんだっけか。まぁ、あの陛下相手なら大丈夫だとは思うし、アメリアにも問題はないだろうが……」


 ルーファスの判断で秘書官を決めることは、国王陛下から特別に認められていた。

 人を見る目を養うために、あえて任せられたものだった。


「うぅ……本当に心配だ。アメリアを父上と会わせることを考えただけで、頭が痛くなりそうだ」


「おいおい、らしくないぞルーファス。もっと前向きになれよ。アメリアの実力は確かだし、必ず認めてくれるさ」


「その点は心配していないけどね……。でも問題はそこじゃないんだ」


(本当に心配してる点は、別にあるんだけど……できるだけ先延ばしにしたいな。今回は軽い内容の方を話そうかな?)


「ほう……じゃあ一体何が問題なんだ?」


 ルーファスは再び大きなため息をつく。

 そして悲壮感たっぷりの顔で語り始めた。


「――父上がアメリアを気に入る可能性だよ。私にとっての最大の悩みはこれなんだ。正直なところ、アメリアの能力は父上の好みど真ん中だと思う。それに性格も良いからきっと気に入ってしまうはず、そんな予感があるんだ」


 エドワードは何も言わずに続きを待つ。

 すると、ルーファスは深刻な様子で言葉を続ける。


「だからね、アメリアの魅力を伝えれば伝える程、面倒なことになる可能性が高いんだ。そうなったら……父上は間違いなくアメリアを側に置くと言い出すだろう。私の可愛いアメリアが奪われてしまうかも――」


「はぁ……ルーファス……」


 呆れたような声を出すと、エドワードは頭を掻いた。


「何を悩んでいるのかと思ったらそんなことかよ! 心配して損したぜ!」


「そんなことって!? 私にとっては一大事なんだが?」


「いいか、よく聞けよ? アメリアは賢い女だし、自分の立場も分かっている。そんな子が馬鹿な真似をする訳がないし、仮に誘われたとこで断るさ。それに殿下は権力を振りかざしたりはしないって有名じゃないか。…………だから何も悩む必要はねぇってことだ!」


 ルーファスはその言葉を黙って聞き続ける。

 そして全てを聞き終わると、神妙な表情を浮かべた。


「……その通りかもしれない。冷静になって考えてみれば、余計なことを気にする必要なんてどこにもなかったんだね。私が勝手に先走り過ぎて、おかしな想像をしてしまったようだ。エドワード、ありがとう。君の言葉に救われたよ」


「まぁ、そういう訳だから心配すんな……。だからルーファスはとにかく自信を持て。そしてアメリアを信じてあげろ。彼女はお前を絶対に裏切ったりはしないと思うからな!」


 エドワードの言葉に、ルーファスは強く首肯する。


「――分かったよ。明日の面談には全てをぶつけることにする。エドワード、相談に乗ってくれてありがとう」


「おうよ! 俺はいつでもお前の味方だからな!」


 ルーファスは晴れやかな笑みを浮かべ、一つ大きく深呼吸した。

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