67# 白い世界に再び
「………えーっと、私たち…その……途中…」
ここ、覚えてる。夢で来たもの。
凄い口の悪い私が居た場所。
真っ白な世界。
でも今回は夢ではなく、現実に自分の足でこの場に立っている。
あ、どこ○○ドア開いてるわ。
レオンハルトの方に目をやると、魂が抜けたように茫然とした後、頭をガシガシと掻いている。
「あー!!最中だったっつの!今からもっとこう、色々と……!」
「黙れ!でかい声で言うな!馬鹿!」
真っ赤になってかぶせる様に大声を出す。
どうやら、事の最中に二人一緒に白い世界に飛ばされたらしい。
こちらに飛ばされた段階で、二人とも衣服を着けていたので、ディアーナ的にはホッとしている。
ただ、夢で見た時と違うのが、あの口の悪いディアーナ似の美人はおらず、その美人が着ていた白いドレスを自分が着ているという…。
「邪魔するつもりは無かったんだけどね、まぁ、この先好きなだけすればいいんだから」
何気にスゴい事をサラっと言う、師匠。
「……え!!?し、師匠!?何で、ここに!…あ!」
「ぁあ゛!?」
同じタイミングで、レオンハルトも気付いたようだ。
「親父かよ!」「お父様!!」
「「あんた、ナニやってんだ!!」」
二人ハモった。
目の前に立つジャンセンは、今まで見てきたジャンセンなのに、醸し出されるオーラは唯一神そのものだ。
ジャンセンは、この世界の創造主であった。
いや本当、あんた、ナニやってんだ!おとん!
「ディアーナがね、それはもう…怖い位に私を脅してね…ぶん殴るって言うから。ちゃんとした転生と転移をさせろって…。私も、したくてしてるんじゃなかったのに…」
おおお、初めて見る怯え気味な師匠。よほど怖かったんだな、ディアーナ!私かい!
「だから、今回は色々頑張ったのよ?こちらに来るように道を作ったりね。」
ジャンセンの姿は、制服姿の一人の少女になっていた。
「えっ!ミァちゃん!?」
香月と同じ高校に通う、乙女ゲームを貸してくれた親友だ。
「ディアーナの魂は、レオンハルトを求めて転生するんだけど、そこに規則性は無く、いつどこに生まれるか分からないの。その魂を追いかけさせて私はレオンを転移させるんだけど…その際の姿や時間軸にまで関与は出来なかったの、今までは。」
ミァちゃんの手には、香月が死ぬ直前にやっていたゲームがあった。
「だから、ディアーナの魂を導いたの。この世界が、貴女が居るべき本当の世界だと、思い出させたのよ。」
久しぶりに見た親友の姿に、目が潤む。
私達のために…一生懸命…頑張ってくれたのね…。ミァちゃん…ありがとう…。
「いや、ディア騙されんなよ?ジャンセンだぞ?アイツで考えたら、やたらディアの事を危険な目に遭わせてたよな?」
レオンハルトの言い分に、ハタと考える。
人身売買組織に拐われたのはジャンセンが仕組んだらしい事、蛇女に拐われた時もジャンセンの力があれば、あんな危険な目に遭う前に簡単に助かっていたかも…?
「そ、そこはほら…香月ちゃんが危険な目にあえば、レオン様が助けて…いい雰囲気になるかもと思ったんだけど…香月ちゃん、想像以上にたくましくて…」
視線を逸らしたミァちゃんは、ダラダラと冷や汗をかいている。
そう言えば助けを求めて怯えたりなんて、無かったわね…
それはゴメン…。
「とにかく、これからディアーナはレオンハルトと同じ、歳をとらないし、死なない身体になったのよ。人間ではなく、神に名を連ねる者に…。死ねない事が辛いと思う日が来るかも知れない…後悔…しない?」
ミァちゃんは、心配そうに尋ねる。
「それは大丈夫よ!私にはレオンが居るもの!うざいしヘタレだけど」
レオンハルトが「ひでぇ!」とわめいている。
だって、これこそが私が千年以上望んだものだもの!
レオンの隣で共に生きていく。
私は令嬢らしくカーテシーをして微笑んだ。
「ごめんあそばせ?ふふふ」




