65# ジャンセンのあの子
「なに乳繰り合ってるんですか。」
テントの幕を上げて中を覗くジャンセンとスティーヴン。
ディアーナとレオンハルトは、簡易ベッドの上で重なったまま動きが止まっている。
━━こ、こんな所!師匠と殿下に見られっ……!わぁあ!服、脱がされる前で良かった!━━
「あなたはケダモノですか?こんな所を大切な人の初めての場所にしないであげなさい。」
ジャンセンはテントの中に入って来ると、レオンハルトの肩を掴んでディアーナからベリッと引っ剥がす。
「あなたの浄化がちゃんと出来てないから、残ったみみっちい瘴気から、タコとイカの魔獣が出たそうですよ。カニやウニの魔獣が出る前に、さっさと浄化して来なさい」
「ジャンセン!てめぇ~!」
何だ、そのシーフード的な魔獣は…
引き剥がされたレオンハルトは、ジャンセンを睨み付けるが、ジャンセンは満足げに頬笑む。
「今なら少しは回復してるんでしょ?肌艶よくなって…ハッ!」
最期は悪態をつくジャンセンに言われて、レオンハルトの身体を見ると、確かに亀裂が薄くなっている。…キス…のせいかしら?
思わず顔が赤くなる。
「姫さん、レオンハルト様に付いてってあげなさい。」
「は、はい?私?何の役にも立てませんが?」
「…いいから行けっつーの!命令だ!」
「い、イエッサー!」
魔法も剣も使えないし邪魔にしかならないと思うけど、師匠命令なので…。
師匠命令は、絶対命令なので、逆らえないディアーナはレオンハルトに付いて行った。
テントに残されたスティーヴンは、ジャンセンと二人きりになった。
スティーヴンはジャンセンと目を合わせないようにしている。…怖いので…。
「そんなに怖がらなくても、もう何もしませんよ…。私、今すごく機嫌がいいんです。私の大事なあの子が、やっと彼女を手に入れられたのだから…。」
ん…? こないだ言っていた、あの子って…レオンハルト殿か?まるで自分の子みたいな言い方をする…な…。子…!もしかしたら…
「…あなたは…!!そっ、創…!!むぐ!」
「私の正体など、どうでもよろしい。」
ジャンセンはスティーヴンの口を手の平で塞ぐと、嬉しそうに笑んだ。




