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58# ローリングソバット???

「ぐぬぅう!ぐあぁあ!」


地の底から出るような低い唸りを上げ、身体のあちらこちらの肉を削がれた女が暴れ回る。

ウィリアの母親の身体が噐だというなら、かなり壊れかけている。


「新しい!…新しい噐ぁあ!よこせぇ!」


女は口を大きく開き、その口から恐らく本体であるどす黒い蛇に似た頭が這い出て来る。

ディアーナは両腕を掴まれ、口付けする程に近い距離に顔を近付けられると、ソレはディアーナの口に入ろうと触手のような物を伸ばしかけた。


「お腹いっぱいだと!…言ってんでしょーがぁ!」


ディアーナは、狙っていたとばかりに女の口を目掛けて頭突きを放つ。

秘技レオンハルト殺し。

寝技講習から逃れた技である。


女の口から這い出た魔物が、頭突きの衝撃で地面に落ちた。

同時にウィリアの母の身体が地面に崩れるように倒れ、その腕から解放されたディアーナは地に足を着ける。


足元でのたうち回るソレを、ディアーナは足を高く上げてからガンっと振り下ろし、踏み潰す。


「ローリングソバットぉ!」


遠くからレオンハルトの「むしろ、それがネリチャギ」って声がするが無視。


「姫さん、とどめはこちらに任せてどいてなさい。」


ジャンセンは刀に炎の魔法を纏わせ、ディアーナに踏み潰された蛇を地面に縫い付けるように刺し貫く。


両の手の平に乗る程の大きさの黒い蛇は、地面に縫い付けられたまま、刀の炎でジュッと音を立て蒸発した。


「やだわ、わたくし魔法も剣も使えないのに、魔物を倒してしまいましたわ!ネリチャギで!ねぇ師匠!」


「姫さん、図にのり過ぎ。倒せてないから。魔物は魔法使わないと倒せないからね。まぁ、一役かってくれたとは思うけど。」


やれやれと言わんばかりのジャンセンは、特に疲弊した様子もなく、レオンハルトの方に向かう。


ディアーナは地面に横たわるウィリアの母の身体を見た。

蛇の魔物が離れ、蛇女の身体は人間の女性の姿になったが、やがて蒸発するように消えて無くなった。


「師匠、待って下さい…ぐふっ!」

レオンハルトの方に向かうジャンセンを追うように駆け出したディアーナの頭上に、鍾乳石の塊が落ちて来る。


ゴンっ


ニブイ音がして、ディアーナは気を失った。



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