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45# ご褒美に口付け

宿の自室でベッドに腰掛け、レオンハルトの帰りを待つディアーナが窓の外に人の気配を感じ、窓に近付く。

窓の外にジャンセンが居た。

僅かな桟に指だけを引っ掛け器用にぶら下がっている。


「姫さん、ただいま。開けてくれない?」


「いや、師匠!ここ三階ですから!何で窓からなんですか!ドアから入って来て下さいよ!」

窓を開けジャンセンを部屋に招き入れながら、辺りを見てレオンハルトの姿を探す。


「師匠、変態は?」

「姫さん、本当にヒドイな。俺もレオンハルト様も名前無視か、変態……レオンハルト様なら…」


心配そうに目を潤ませジャンセンを見上げ、答えを待つディアーナのその姿に、ジャンセンが面白くないとばかりに眉を寄せる。

「何か、イラっとしたから置いて来たよ。あ、一応無事だから、その内帰って来るだろうけど」


「そっかぁ…良かった…」

安堵から笑顔を綻ばせるディアーナに、ジャンセンが顔を近付ける。

「キス…されたんだよね?レオンハルト様に」

「はい?何で知ってるので……」

「俺にもご褒美のキス…くれない?」


ディアーナのうなじにジャンセンの手が回る。

頭を支えられるようにして唇が近付く。

ジャンセンの吐息がディアーナの唇に掛かる。



「やめてくださいよ、師匠」


ジャンセンの顎の下にオリハルコンのナイフの切っ先が当てられた。


「借りたナイフを返すのが、師匠に刺さった状態とか嫌ですよ?」

ニッコリ笑うディアーナに、大きな溜息をつくジャンセン。

「冗談だよ」

「だと思いました。」

ニコニコ頬笑むディアーナは、警戒を解いていない。


「もう、しないから師匠呼びはやめてよ。」

「じゃあ、お父さん?」

「おとっ…!?ゴホッ!ゲホッ!」

激しくむせるジャンセンの背中をトントンと叩いてあげるディアーナだった。




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