41# 氷室に赴くレオンハルト
ディアーナとスティーヴンを町に残し、一人入江に来たレオンハルトは感覚を鋭利に研ぎ澄まし、空気の澱みを探る。
足場の悪い海岸線の岩場では、足を滑らさないようにと一歩一歩と慎重に歩を進める。
「思っていた以上に重症だな…歩けるだけマシなのか?」
思うように動かない足を撫で足元に目をやった時、視界の端に下方に降りる階段を見つけた。
小さく狭い階段から冷たい空気が流れ出てくる。
どうやら、ここが氷室らしい。
「はぁ…ディアーナ怒ってるだろうな…いきなりチューしちゃったもんな、チュー」
腰に携えた剣を抜き、雷を纏わせていく。
「でも、お陰で剣を握る事が出来る」
パチパチと静電気のような光を弾かせた剣を持つレオンハルトの手の平から、小さな欠片が落ちて行く。
動けなくなる前に、勝負を決めないと!!
階段を降りると鍾乳洞のような広い空間に出た。
ボロボロになった祭壇が中央にあり、そこに一際大きな氷塊がある。その氷塊を抱き締めるようにとぐろを巻く蛇のような肢体。濡れて黒光りする身体は海蛇のよう。
長い蛇の身体、その先には美しい女の上半身が付いていた。
「まいったね、ウィリアそっくりだ!娘が泣くぜ、お母さん!」
助走をつけ飛び上がり、大きく振りかぶると、剣を叩き込むように振り下ろす。




