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32# 師匠

黒髪の青年は、疲れ果てたように膝を抱えて座り込む。


「私はジャンセンという者です…ジャンセンとでも、ジャンとでもお呼び下さい、人さらい呼ばわりしなければ、もう何でもいいです。」


「何でイジケてんのよ、そもそも私の前に姿を見せた理由は何よ。」


何故だろう?彼と話していると令嬢らしい口調が出ない。


膝を抱えている青年を前に、仁王立ちで木の枝を肩に担ぐディアーナは、もはや只の苛めっ子にしか見えない。


「先日の件につきまして、私なりに謝罪をしたかったので…」

「ふぅん、じゃあ私を鍛えてくれる?」


ディアーナの唐突な申し出に、ジャンセンが不思議そうに返す。

「私に頼らなくても、もっとお強いレオンハルト様に教えを請うた方が良いのでは?」


ディアーナの顔から血の気が引く。青白くなった顔をジャンセンから背け、ポツリポツリと呟く。


「……寝技を教えられそうになったわよ……自衛どころの騒ぎじゃない、もっと危険なのよ……頭突き喰らわして逃げたわ。」


「……何か…余計な事を聞いて、すみません…」


互いに決まり悪そうに顔を背ける。そして沈黙が流れる…。




結局ジャンセンが折れて、ディアーナが身体を鍛えるのに付き合うという話でまとまった。


後は敬語で話されるとやりにくいから、普段使っている口調で、とお願いした。


ジャンセンに、師匠と呼んでいいかと聞くと却下された。

人さらい以外なら何と呼んでもいいと言ったくせに。


「ちなみにさぁ、姫さんが身体を鍛えるのは殿下やレオンハルト様には内緒?」


「うん、知られたくない。……イヤじゃん、大して強くもないのに頑張ってるんだなぁみたいな生暖かい目で見られるの」


「あー姫さんは、努力がバレたくないタイプな…」



この日は、ジャンセンに木の枝を剣に見立ててのチャンバラをしてもらったのだが、剣に関しては覚えるだけ無駄だと言われた。ひどいじゃないか。

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