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31# 一人になりたかったのは…

一人、林の中に来たディアーナは木の枝を剣に見立てて素振りをしていた。


両手で枝を握り、正面に構え激しく振り下ろす。


「何か…体が動くのよね…だけど、実戦向きではない程度のようね…」


前世の私は、庶民の少女だったと思えるのだが、なぜか多少の防衛手段を会得しているっぽい。


達人のような技を身に付けている訳ではなく、あくまで軽い自衛手段のみのようだ。


殴るとか、蹴るとか、小指ひねるとか、ラリアットとか、はしたない場所を狙って蹴りあげるとか。


「多少、素地があるなら、もう少し強くなれないものかしら?お股を蹴りあげる以外で。」


「おっかない事言ってんじゃないよ、お姫様が」


ディアーナの背後に黒髪の青年が音も無く現れ、木の下に立っていた。


「あ、新入りの人さらいだ」


特に驚く風も無く、青年を指差す。


「いや、人聞き悪いなーそれ……もう人さらいでないよ、俺ー。姫さん達が暴れたせいで頭もマージ先輩も死んだし、俺、今は無職なんだから」


肩を竦め、おどけたように言う青年にディアーナが首を傾げる。


「?無職?違うでしょ?陛下が影のあなたをクビにしない限りは」

ディアーナはキョトンとした顔で青年を見る。


「……ハハッ、言いきりますか?俺を影だと」


ぶわっと空気が変わる。殺気にも似た威圧感を投げつけられたようだ。


「言い切るわよ、初めて地下で逢った時から、あなた私を守っていたものね」


「手枷を嵌められて地下室に放り込まれていたのに、守られていたと言うのですか?」


「すね毛が私に手を出したら、即殺ってしまっていたんじゃない?ところで、すね毛死んだの?腕が落ちる所は見たけど」


木の枝をブンブン振りながら首を傾げ、青年を見る。


「ええ、レオンハルト様が首をバッサリ……さっきから、すね毛すね毛って…マージの事ですよね?やっぱり、貴女は、おかしな姫様だ」


圧されるような殺気が消えると青年はガックリ肩を落とし、項垂れた。

「ねえ、新入り人さらいさん」

「やめて下さいよ、名前知らないからって」


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