23# 私のレオンハルト
アジトの中に居る兵士の鎧に紋章が刻まれている。
この都市の自警団等ではなく王都の兵士達である。
「小隊とは言え、わざわざ王都から軍を遠征させてまで…?」
自分の口から出た呟きにザワッと背筋が寒くなる。
私達の動向を知り、この国に到着するのに合わせ小隊を潜り込ませ…
足を止め、前を行くスティーヴンの外套を引っ張る。
「殿下、わたくしを餌にして、レオンハルト様にここを潰させようとしましたわね?もしかしたら会場とやらも?殿下は貴族は捕らえて罪を暴かなくてはと申しておりましたけど、わたくしを拐わせた人物はレオンハルト様にすべて消させるつもりだったのでしょう?罪も罪人もすべて、天罰という名の元に」
「ディアーナ嬢…それは…」
語尾を濁し言い澱むスティーヴンは、肯定していると同じだ。
「国王とは言え、多くの貴族を一斉に粛清なんて出来ませんものね、でも神の怒りに触れたのだから、天罰だから仕方無いと言う事にしてしまえば…国とって不利益でしかない貴族を簡単に消してしまえますものね……」
スゥと大きく息を吸い込み、腹の底から声をあげる。
「ふざけないで!!レオンハルト様の力は、この世界を守るためだけにあるのに!こんな、くだらない破壊をさせるために…!」
レオンハルトの力が何の代償も無しに無尽蔵にあるとでも思っているのか、どこから湧くのか分からない怒りに身が焦げそうになる。
「私のレオンハルトを苦しめないで!!」




