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20# オフィーリアあらわる

「何だと!このアマぁ!商品だから手を出しちゃマズイと思っていたが、痛い目を見て大人しくしてやがれ!」


すね毛がディアーナを殴ろうと、右手を高く振り上げる。

ディアーナは微動だにせず、すね毛を睨め付けたまま視線をはずさない。


白く…冷たい…

冷気が石造りの部屋に充満する。


そこには町娘のワンピース姿のままで剣を手にした美しいオフィーリアが立っていた。

足元に、すね毛の右腕が転がっている。


「俺の女にナニする気だったんだ?あ?」


その天使のような姿で、その小鳥のさえずりのような美声で


「そんな事を言うんじゃない!黙れ!」

ディアーナは思っていた事の後半、声に出してしまった。


冷気のこもった部屋で睨み合うすね毛のオカマと、魔法で少女に見えている男の娘。

そして喜劇を見せられている私。誰か何とかしてくれないかしら。


「ディアーナ嬢!無事か!」


扉が開き、剣を手にしたスティーヴンが部屋に入って来る。


「!!見ちゃ駄目です!殿下!」

「お、オフィーリア!?」


かつての想い人の姿を見てしまったら殿下の繊細なお心が傷付いてしまうわ!

と思っていたのは私だけのようで、殿下は私の手枷を剣で切って外すと、私を連れて部屋を出た。


「レオンハルト殿、ほどほどに…」

「おう、もう遅いがな」

オフィーリアは剣の先を、すね毛の喉仏に当てる。


「な、ナニ?ナんだよこれ…何なんだよ!た、たすけ…」

すね毛の喉仏に当てられた剣先が、呼吸をする度にツプツプと喉に食い込み赤い小さな粒を作る。

片腕を斬られた痛みも忘れてしまう程の恐怖を感じて歯の根が合わない。


「処刑です!お前らみたいな輩は、瘴気と同じ!と、言うよりは俺の女に手を出した時点でプチ決定な」

「…は、はぁ?」


緩やかな金髪に翡翠色の目を持つ。

聖女と呼ぶに相応しい容姿の美しい少女は、笑顔のまま剣を横に引いた。

すね毛の首が薄皮一枚残して真後ろに倒れる。


最期に、扉の奥に立つジャンの姿を真っ逆さまに目に映して。


「さようなら、マージ先輩」

ジャンは呟き扉を閉めた。

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