13# 瘴気を祓う
地割れの現場には三人で辿り着いた。
さすがのスティーヴンもレオンハルトの様子にただならぬ不安を感じたようで、陛下からディアーナ嬢を護るように言われているのだからと疲労した身体に鞭打って同行した。
幸い、発見がギリギリ早かったのか魔物が生まれる前に瘴気を浄化して穴を塞いだ。
レオンハルトは地割れに向かい剣に魔力を込め、黒ずんだ空間を切り裂く。
剣の軌跡に従うように、蜂の巣のような模様の透明な壁が宙に浮かび上がる。
透明な壁はインクに紙を浸したように、ジワリと黒ずんだ瘴気を取り込むと、ガラスのように砕け霧散した。
霧散した欠片が光の粒子になって舞うのを見ながら、その幻想的な光景に感嘆の溜め息を漏らすスティーヴン。
「何と美しい…まるで神の祝福のような…」
光の粒子を纏ったレオンハルトは剣を納め、フゥと息をついて振り返る。
「間に合って良かったよ!いゃあ、お疲れさん!」
満面の笑みを浮かべながら軽口を叩くレオンハルト。
一方ディアーナは
そんなレオンハルトを睨む。
きつく唇を噛み締めながら、自分の心臓の位置を強く強く握りしめていた。
━━━この言いようのない不安はナニ…?━━━
レオンハルトの笑顔に、心の中で僅かな怒りを孕んだ哀しみが頭をもたげた。




