1# お約束の異世界転生
ちゃんとした文章を書くのが初めです。
ほぼ殴り書き状態で、適切でない表現や、造語もあるかと思いますが…。
文章ヘタレでも、作品のキャラクターに少しでも興味を持って戴けたらと思っております。
パチン! 指を鳴らされて催眠術から強制的に目覚めさせられたかのように「私」が意識を取り戻す。
━━━ここはどこだろう?…体育館みたいにだだっ広いし壁も床もキラキラしてる……つか天井高っ……シャンデリアでかっ……どこのお城ですか?
いや、私の部屋天井低いし六畳しかないんだけど?
私の六畳間、いつの間に百畳間になったの?━━━
まるで、テレビで見たヨーロッパの宮殿のような豪華絢爛なその場所で、脳内にて1人ツッコミをしながら私はただただ佇んでいた。
「何か申し開きがあるならば、言ってみるがいい。」
不意に声を掛けられ、初めて場所以外に目を向ければ、目の前には婚約者であり王太子のスティーヴンがおり、その傍らには子爵令嬢のオフィーリアが居た。
広いホールの中には夜会用のドレスや礼装で着飾った大勢の人達がおり、ざわざわと私達の方を遠巻きに見ている。
「そなたは侯爵令嬢であり私の婚約者という立場でありながら、オフィーリアを下級貴族の娘だと罵り、酷く虐げていたであろう!貴族令嬢にあるまじき行為だ!
そなたは王家の妻として相応しくない!よって、婚約は破棄させてもらう!」
オフィーリアを背に庇うように立ち、私を糾弾する王太子スティーヴンの言葉を聞きながら、彼の放つその言葉と全く同じ台詞を読んだ事がある事をぼんやりと思い出していた。
「殿下…わたくしは決して…そのような事…。」
無意識に口から出た自分の台詞すら読んだ事がある。
私はつい、さっきまでオフィーリアの視点でこの場面を見ていた。
主人公オフィーリアを操作してゲームをプレイしていた…
ここはゲームの舞台な筈なのに……この世界は現実だ。
わたくしはこの国で16年生きてきた。
侯爵令嬢のわたくしは「さっきまでゲームをプレイしていた私」を思い出した。
━━━覚えてる、ここは王城のダンスホールだ…。
今日は私達の通っていた学園の卒業式で、国王をはじめ多くの貴族がパーティーに参加している。
ゲーム通り進むならばこの断罪イベントから婚約破棄、そのまま国外追放になるハズよね━━━
転生した先が主人公ではなく、今後がいいとこ無しな悪役令嬢だなんて、くじ運悪すぎて情けなくて可笑しくなる。
「私」が覚えているゲーム進行では、悪役令嬢は婚約者である王子から婚約破棄を言い渡された後に国外追放となる。
だが、その後の悪役令嬢はどうなったのだろう?
悪役令嬢のその後なんて、ゲーム内でも殆んど語られはしない。
だからゲームをしていた私にも分からない。
ここが現実なら、わたくしはどうなってしまうのか…。
私が言葉を発せぬまま、スティーヴンとオフィーリアを見つめていると、ふ、と目が合ったオフィーリアの唇が三日月のような弧を描いた。