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尾行は影の中で
普段通る通学路を外れ、下町の少雨店外に入る。
今なおこの町の商店街は賑やかさを絶やさない。
揚げ物が安いお肉屋、野菜が新鮮な八百屋、気前が良く値引きをしてくれる魚屋。
そんな当たり前のようで、今の世では珍しい下町になぜネット通販ゴールドクラス館員の俺がいるのか。
それは目の前で一袋10円台のもやしを眺めながら真剣に悩んでいる少女にある。
(なにをやっているんだ?もしかして誰かを待っているのか)
八百屋、肉屋、魚屋と周り、最後には100円ショップで買い物を済ませ、スタスタと東口通りを歩いていく。
あと少しで商店街をでる。本当に買い物を済ませたかっただけなのか。それともカモフラージュか。
普段ならこんなに疑心暗鬼にならないのに、今日はどうも変な方向に思考が移る。
(あの姿を見ると、どうしても裏があると想像してしまう。)