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【現実ノ異世界】  作者: 金木犀
【卓也VS廿六木VS後鳥羽 下】
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60 無自覚を束ねて

 それは、コインランドリーでの宣戦布告あと。

 廿六木と敵対した時に真っ先に感じたのは、やはり『インターネット及び通信機器諸々が使えない状況』の厄介さだった。

 通話は筒抜け、電子的な準備はバレて、記録は読まれる。

 これだけで廿六木攻略の難易度が大きく跳ね上がってしまう。もちろん奇襲の難易度も。


 まともにやり合うのは避けたいが、かといってヤツの意にそぐわないスタイルでの決着はその後もダル絡みされ続ける可能性がある。

 だから、やるなら徹底的にやる必要があった。

 気持ちをへし折るか、或いは…ヤツを殺すか。


 できれぼ殺しはしたくない。初めて直接手を下すのがヤツなのは『何か嫌』だ。

 それに殺すのだって簡単じゃない。

 ヤツの『生命力を操る能力』は、自身の命の残機を増やすことで何度も蘇ることができる。

 完全に殺すには何度殺せばいい? 99機? 999機? あるいはストックに上限はなく、その時の貯蔵エネルギーによっては無限に等しい復活を遂げるかも知れない。


 泉気を封じた後に殺せばよいかもしれないが、数値を弄るのと生命エネルギーを吸い取られるの、どっちが早いか。

 泉気を封じても復活はオートかもしれないし、不確定な部分が多分にあった。


 そこで一旦、心を折ることでの勝利を目指した。


 心を折る。

 アイツはどんな時に心が折れるのだろうと考えた。

 一見控えめなようで、ものすごく尊大な態度。まさに世界は自分を中心に回っていると思っているタイプ。

 無関係な人を巻き込むことに躊躇いの無い最低なヤツだ。

 そこには悪意とか嗜好などは介在せず、単に『最も近い道を進むのに必要』だから利用しているだけ。

 短い付き合いだが、俺は廿六木のパーソナリティをそう分析した。


 そしてヤツの性格の話。

 ヤツはこの上ないドS…とは違うんじゃないかと俺は考えていた。

 確かにヤツは他人を支配したがるし、加虐により興奮してそうではある。しかし気になったのはヤツの『能力証明のやり方』だ。

 以前ミリアムでネクロマンサー尾張を追い詰めるための作戦会議を行った際に、稗田たちに廿六木を紹介したことがあった。

 その時ヤツは自分の能力を証明するために頭を銃で撃ちぬこうとしていた。

 俺が止めたので未遂に終わったが、妙だなと感じたのを覚えている。

 サディストがこんな方法(自虐行為)で証明するか…? と。

 もっと言うと、能力のキモともいえる不死性を晒すなんて、戦略的にどうかしている。その様子はまるで『見せつける』ようだった。


 まあ別にSとかMに詳しいわけではないから、その時は『まあそんなヤツもいるだろう』くらいで終わってしまったが。

 その後もヤツは度々"期待するような目"で俺を見ていた。

 表向きは『早く私の元へ来い。直々に手を下そう』みたいな感を出していたが、その裏に隠されたものがあるような気がしていたのだ。


 だから心を折るやり方は『何度も殺し続ける』のが良いと判断した。試したいこともあったしな。

 結果的にはそれが後に対峙する後鳥羽攻略のヒントにもなったのだから笑えるが。



 さて、方針が固まったところで具体的な方法だが。外園の情報が無くても、廿六木自身が非常に鋭い。

 例え電子機器を一切使わずに仕込みを完了させたとしても、協力してくれる誰かから緊張感や敵意といった"何か"を察知し勘づかれてしまうかもしれない。

 協力者が多いほどそのリスクは高まる。

 誰の演技が下手でとかそういう話ではなく、仕方のないことだった。

 だから俺は決めた。


 電子機器などを使わず、かつ、全容を知っているのが俺しかいない作戦でヤツを討とう…と。


 匂いを極力残さないという観点でいうと『廿六木討伐のために新しく何かを始める』のは悪手だと感じた俺は、既存のものを利用することに決めた。

 そこでたまたま『新型自動人形のテストの話』を聞き、それを使わせてもらうことに。

 丁度ASEバレットの開発の話もあったから、それらを合わせて『廿六木を的にして撃ちまくる』という作戦の骨子を決定させた。


 Xデーは当初の自動人形テストの日だ。

 当然これを何の理由もなく変更すれば廿六木に勘付かれてしまうかもしれないから、この日に特対に呼べないとか、逆に人員が集まらなければ中止するつもりでいた。

 人員は協力体制にある四十万さんに、口頭で、記録を残さないようお願いして進める。


 そして最初は真里亜の能力を使って廿六木の姿を自動人形に変えようと考えた。

 しかし能力をかけるのが直前でないとダメなことと、真里亜には作戦の全容を話さなければならないことなど、あらゆる点で不安材料があった。


 そこにたまたま伊坂が現れた。

 彼女の誤解させる能力は廿六木に直接かけなくても良いので、運用が格段に楽になった。

 当日、俺の持っている端末に『塚田卓也が連れている人間を自動人形と見間違える』という誤解をすれ違い様にかけてもらい、ロビーで待機している四十万派の職員にチラッと見せて準備は完了する。


 ランドリースペースの張り紙作成や、嘘の機器メンテナンス告知も、四十万さんのコネを使い適当に頼んだだけ。

 誰も彼も無関係だ。

 俺だけが知っている、俺だけの作戦。


















 _________












「とまぁ、他にも細かい仕込みはあったが、概ねこんなもんだ」


 床にひれ伏す外園に作戦の全容を聞かせる。

 すると外園はポツリと感想を言う。


「そんな…不完全な作戦で……」

「そうだな。打ち合わせなんかできないから、成功する確証は無かった。もし伊坂が来なかったら。もし四十万班の都合が悪くなったら。廿六木が今日来れなかったら。どれか一つでも欠けたら、作戦は中止するつもりでいた。それくらいの気軽さで仕掛けたんだ」

「…そんな」


 驚いている外園。

 色々と思うところがあるのだろう。


「そんな適当さだから、今回の罠の匂いも嗅ぎ取られずに済んだのだろうと思ってるけどな」

「…」

「で…どうしてこんなことをベラベラと喋って聞かせているのかというとだ」


 ここからが本題。

 わざわざ彼だけを気絶させないでおいた理由。

 今後の俺のソロ活動の助けになってくれればという布石だ。


「俺なら君の能力を一番有効活用してやれる…そうは思わないか?」

「………は?」


 スカウトではない。

 協力者を募るための一歩だ。



いつも見てくださりありがとうございます。


長期出張のせいで執筆が進まず。

なんか書こうとしてた事もっとあったような…

まあいいか、適当で。

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