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【現実ノ異世界】  作者: 金木犀
【卓也VS廿六木VS後鳥羽 下】
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51 断る理由

「…お…おぉ…? うおおぉぉぉ!?」


 光線と熱線が飛び交う戦場でひとり間抜けに感嘆の声を漏らすのは、霊獣を封印されし卓也(?)である。

 ユニと同じ技で相棒の琴夜を失った卓也が切り札として用意しておいたのが、特対の友人である鷹村光輝だった。

 彼はエースの冠に相応しい強さで、先ほどから後鳥羽を圧倒している。上位存在と融合しているにも関わらず、パワーもスピードも引けを取っていなかった。


(こうして光輝がガチバトルしてるとこを傍から見るのって、何気に初めてだよな…。そしてやっぱ強え。てか二人とも当たり前のように空飛んでるし…)


 初撃、光輝の超光速攻撃で1デスした後鳥羽はすぐに対策を講じた。

 自身の周りに炎の刀を具現化し、それを張り巡らせたのだ。直線的な動きで突っ込んできた光輝の首をはねるように。


『光を操る能力』を持つ光輝は自身の体をも光化し、目にも止まらぬ速さで接近し攻撃を行うことができるが、置かれている刃に突っ込んでいけばダメージを負ってしまう。

 つまり後鳥羽の対策は有効である。

 当然そのような弱点を把握していないハズもなく、戦闘中光輝は変化する状況に対応できるよう常に自分の意識が追い付くスピードで移動していた。

 その速度は、MAXでマッハ10.

 結果的に二人は遠距離戦となり、後鳥羽は熱線を、光輝は光線を、互いに空中を飛びながら撃ち合うことになる。

 まるで映画やアニメのワンシーンのような光景に、卓也も思わず感心した。


(光が直線移動しかできない分、細かく曲がって回り込んでるな…。あれに対応できてる後鳥羽もヤバいな。霊獣と共感してるか…?)


 はじめて後鳥羽の戦いを第三者目線で見ることができ、改めて味方と敵の強さに気付く卓也。

 自身の能力の評価が下方修正されることはないが、炎と光の能力を鍛え上げ使いこなしている上級者を目の当たりにし色々と思うところはあった。

 だが驚いてばかりもいられない。

 この後に来る本命チャンスを逃さないため、折角できた猶予を最大限利用し思考を巡らせる。


 そうこうしている間に、戦況が動く。


(―――今っ!)


 後鳥羽の刀の結界が移動により僅かに綻んだ。

 それは隙と言うにはあまりにもか細い隙間。人がギリギリ一人くぐれる程度のスペース。

 しかしそれを光輝は見逃さなかった。

 接近してくるという選択肢が後鳥羽の中から消えかけたこともあり、雷の如き軌道で瞬時に懐に潜り込んでくる光輝に反応が出来ず…


「ガっ―――」


 再び光の刃で首をはねられた。

 術者を一旦失った刀は空中に霧散し、身動きが取れるようになった光輝は胴体を蹴り飛ばし首のもとへと送る。

 するとまたしても炎に包まれ、すぐに綺麗な状態の後鳥羽が降臨するのであった。

 素早く卓也の近くへ移動した光輝はその様子をまじまじと観察した。


「クックックッ…」

「…?」

「楽しそうだなぁ、オイ」


 復活したかと思えば急に笑い出す後鳥羽に二人は何事かと顔を合わし、卓也が言葉を投げかける。

 何かあればすぐに動き出せるように警戒する光輝と、情報を引き出す卓也とで、瞬時に役割分担を行ったカタチだ。

 このあたりは言葉を交わさずとも、普段卓也の家でやっている協力対戦ゲームなどで培われた連携により朝飯前だ。

 しかし意外にも、後鳥羽が感情を向けたのは卓也ではなく光輝にだった。


「流石は鷹森光輝だな…」

「…有名人だな、光輝」

「そうか」

「特公から誘いを受けただけはあるってか?」

「…まじか」


 後鳥羽から語られる事実にただ一人驚く卓也。

 なんと光輝は"あの特公"からスカウトされていたというのだ。

 そしてそれは同時に『特公の誘いを断った』という事に他ならず、色々な意味を込めて『さすが光輝』と感じるのであった。


「あったな、そんなことも」

「初耳学なんだけど…」

「昔の事だ」

「昔って?」

「15年位前だな」

「それは…確かにすごい前だな…」


 確かにそんな前の話をわざわざ持ってこないか…と思う反面、今回の事を伝えた時に少しくらい話してもいいじゃんと思うのであった。


「お前ほどの実力があって、何で特対なんかでエースやってやがる」

「終わってなかったからな」

「…あ?」

「何が終わってなかったんだ?」


 後鳥羽だけじゃなく卓也も、光輝が特公の誘いを蹴った理由について知りたがる。

 だが明らかな説明不足に、思わず卓也も聞き役に回ってしまう。


「"超破壊村"だ」

「…あァ?」

「それって、ハイパーファミコンの…か?」

「そうだ」


 飛び出した予想外の回答に、二人とも目を見開いた。

 だが光輝の顔は至って真面目だった。

『仕方のない理由を言っただけ』という表情をしている。


「スカウトに来た人間が、悠一たちは一緒には連れていけないって言うからな。じゃあいいって断った。まだ2周目にも行けてなかったしな」

「……」

「ぷっ…。そりゃあ…仕方ねえな」

「だろう?」


 くだらなさすぎる理由に少し笑ってしまう卓也。

 しかし至って大真面目な光輝を見て乗っかることに。

 対して後鳥羽は、話している内容こそ理解していないが、自分の尊厳を踏みにじられたことを察し怒った。


「もういい…消えろ」

「なに―――」


 そして後鳥羽は光輝を"第1層"へと飛ばしてしまうのであった。



いつも見てくださりありがとうございます。


なんかYouTubeの広告でマヴラブの新しいゲームが流れてきて、

いつもは煩わしいなって思うんだけど、キャラ可愛くて大体見ちゃう。

青髪の子と、志津香イメージソックリの銀髪の子が良すぎる。

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