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【現実ノ異世界】  作者: 金木犀
【卓也VS廿六木VS後鳥羽 下】
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50 助太刀

「オォラ!」


 掛け声とともに衛星から放たれる熱線。

 まるでスパイ映画に出てくる赤外線センサーのように張り巡らされたそれは、敵の接近を拒む。

 しかし…


「おおっと…」


 アスレチックの要領で迫りくる熱線を回避していく卓也。

 自力で避けられるものは自力で。それが無理なら、空中に足場や手すりなどを具現化して利用し、器用に回避していく。

 沼気の盾も卓也が通り過ぎるまでの一瞬を護るくらいなら十分な強度で、迫りくる赤い線から主を守護した。

 身体を卓也が、具現化を琴夜がそれぞれ担当している。

 また卓也は琴夜が護る前提でルートを作っており、完全に身をゆだねている状態にあった。それが琴夜に伝わりシンクロ率が上昇。

 さらに卓也の思考が流れ込み、淀みない連携を可能にしたのである。


「…っく!」

「させるかよ」


 3メートルまで迫ったところで、後鳥羽はジェットで距離を取ろうとした。

 だが、素早く放たれた沼気で作られた巨大な裁ちバサミが後鳥羽の推進力となる両足を容易く切り落とすのであった。


「おらよっ!」


 推進力どころか体の支えを失い地面に倒れる後鳥羽に、卓也は追い打ちで沼気の槍を投げつけた。

 それは見事に後鳥羽の喉を貫き、幾度目かの死をもたらしたのだった。


 しかし、やはり…

 すぐに後鳥羽の体は炎に包まれ、彼を完璧な状態へと戻す。

 精神以外は…。


「……………くそっ!」


 素早く自分から距離を取った卓也を見て、忌々しそうにそう吐き捨てる後鳥羽。

 死ぬたびにパワーアップするも、卓也もそれに合わせてギアを上げるためあまり意味がない。

 あらゆる手で殺し尽くされ、憤りも最高潮となっている。


『使いましょう…! 回廊を…早くっ!』


 追い打ちをかけるように、後鳥羽を慮ったフェニックスの提案がさらに彼をイラつかせる。

 相手の融合を解除しないと勝てない

 そう強く念押されているように思え、酷く敗北感を植え付けた。

 勿論状況はそうなっており、しかし相手の手段を封じるのも手の一つである。

 これまでもしてきた事のはずなのに、後鳥羽の中の何かが抵抗していた。


「これで終わりだ」


 言葉と共に卓也の手には剣が一つ具現化された。

 大量の沼気を圧縮し造った両刃の剣は、実際はただ密度の高いだけの剣。

 不死身の後鳥羽を殺すには至らない、なんの変哲もない武器だ。

 しかし状況と、卓也の強く漲る自信が、後鳥羽たちに『あれは自分らを殺すための剣だ』と僅かでも思わせた。


 あれば最初から使っている…ということは少し考えれば至る答えだ。

 このタイミングでこのカードを切る意味がない…つまりはブラフの可能性の方が高い。

 これも冷静に、漫画を読むかのように俯瞰で考えればすぐに辿り着いたかもしれない。


 募っていく苛立ちと、沼気という情報の少ないエネルギーが後鳥羽たちから冷静な判断力を奪い、ユニを封じたあの技を促したかった卓也はそれを見逃さなかった。


『璃桜っ!』

「…っく! クソが!」


 とうとう後鳥羽は二度目の時回廊を、この前と違い自らの手で発動させる。

 自らの意思かどうかは不明であるが、それにより卓也から沼気が消え、素の状態へと戻ったのだった。


「…ちぃっ! もう使えるようになってたか」


 バックステップをしながらこぼす卓也だが、これは演技である。

 計画通り…! そんな笑みを浮かべて警戒されないよう、心の中でだけほくそ笑んで距離を取った。

 表面上は大ピンチ。そう見えるよう事を運ぶ。


「頼むぞ!」


 そして卓也はポケットから"箱"を取り出した。

 自身の能力で小さくしていた箱。水無雲の能力で生まれた箱を、卓也は解放するため開ける。


「光輝…君に決めた!」


 そうして出てきたのは、卓也のゲーム仲間であり、特対のエース。

 光の能力者、鷹村光輝であった。

 琴夜が封印された時の為、予め箱に詰めて持っておいた。

 それが今、解き放たれる。


「…大ピンチノヨウダナ、タクヤ」

「…おう。頼むぜ」


 卓也の前に立つのは、どこかぎこちない光輝。

 事前の打ち合わせで『光輝は自然な演技ができそうにないから最低限の言葉だけ交わしてくれ』と注文を受けていた。

 そうしなければ『待っていたぞ』とか『ようやくか』といった、計画通りに事が進んでいるニュアンスの言葉をつい漏らしてしまいそうだからである。

 そして結果として、自然な会話をたどたどしく進めることになってしまう不器用な光輝であった。


「俺ガ来タカラニハ、モウ、大丈夫ダ」

「…そうだな。じゃあ、光輝…電光石―――」


 卓也が技名を言い終わる前に、光輝は文字通り光の速さで移動し…


「がぁ…!」


 通り過ぎざま、後鳥羽の四肢と頭部を胴体から切り離していたのであった。


「卓也は殺させない」


 光の能力。

 それは誰にも知覚することのできない速さで敵を穿つ。

 この男、最強につき。



いつも見てくださりありがとうございます。


青ブタしか見てないんだけど、面白すぎ。

なんか見てない映画が二本あるっぽくて、知らないキャラが沢山。

牧之原さん主役のヤツだけは見た。BD買ったし。

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