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【現実ノ異世界】  作者: 金木犀
【卓也VS廿六木VS後鳥羽 下】
360/417

7 謎を解け

「何ですかね、アレ…」


 近くの才洲が不思議そうにそう呟く。焦った様子はない。

 そして他の皆も口には出さずに観察を続けている。


「言うまでもないが、”攻撃“だからな。油断するなよ」

「わかってます」


 サラッと返答する瀑布川は上にある目ではなく、俺たちの周りを観察していた。

 それは少し離れた皆川も同じだった。

 というか、全員が同じ考えの元で自然と“分担”をしている。


 もし目を合わせた相手をハメるタイプの術であれば、全員が同じ方を向くのはアホ丸出しだ。かと言って全員が逸らして目からのビーム攻撃などを警戒しないのもまた失策。

 その考えに至った四人は、咄嗟に声も出さずに”見る側“と”見ない側“に分かれた。

 見ない側は当然周囲を警戒する。


「斬れませんね、あれ」

「そうか。こっちで分かったのは、大体あの目を中心に半径50メートルの結界ってことだな」

「なるほど…。空間系誘導型っぽいですね」


 才洲は自身の能力であの空中に浮かぶ目をバラそうとしたが失敗。

 俺も四方に小石を弾いてみたが、ある地点で消失。そのことから俺達がおよそ半径50メートルのドーム状の空間に閉じ込められていると推察できた。

 俺からの報告を受け、才洲は以前俺が駒込さんから聞いた系統の名前を口にする。

 流石は共通認識。咄嗟に情報を共有できて便利だな。


「…! 目が開きます」


 上を見ていた火実がそう呟くと、俺たちに緊張感が走る。

 いくら戦闘経験豊富な才洲や副班長の俺と言えど、未知の能力には当然警戒しなければならない。

 その上で対策を講じ、この結界からの脱出を試みる。実戦となんら変わりないな。


「………カウントは減ってるけど、特に何もないですね」

「周りも、特に襲ってくる様子はないねぇ」


 男性陣が報告する。

 動かずに観察に徹しているが、今のところ動きは見られない。

 あるとすれば、空中の目が開き、その上の10のカウントが少しずつ減っていっているだけ。

 勿論サーチを使いエネルギーの動きも探っているが、散布されたり一箇所に溜まっていってる様子もない。


 残る可能性はカウントゼロと共に“何か”が行われるという線だが、目の帯びている僅かなエネルギーで俺たちを一掃するような攻撃を繰り出せるとは思えない。

 となると…


「あれが審判的なオブジェクトである可能性は?」

「十分考えられます。というか現状それが濃厚かもですね」


 俺から提示された可能性に大きく同意する才洲。

 チーム黄泉の一人、稗田の【ノーサイドゲーム】を思い浮かべながらの俺の発言だ。

 あれは能力に付随する”レフリー“という存在が範囲内の人間に公平にジャッジを下していた。

 そしてレフリーには攻撃は通らない。全員の敵でも味方でもない、不可侵な存在なのだ。

 あの目も、そうなんだろうか。


 だとすればあれからの攻撃を警戒しすぎるのは無駄か…?

 そして、審判がいるということは『敵もこの中にいる』可能性が出てきた。


「未知の空間系能力はホント厄介だな」

「ですね」


 微動だにせず観察を続ける俺たちだが、このままではジリ貧だ。

 そしてそのことは、場数の多い才洲も当然理解している。

 殺傷能力が低いことを見越して何らかの条件を満たす行動を取るのもアリだが、イコールすぐに本部に転送されるような状況に陥ったのでは都合が悪い。さてどうするか。


「あ、また目が閉じましたね、副班長」

「新しい数字が出てますけどね」


 10カウントが終了し、再び空中に浮かぶ目は閉じられた。

 だが代わりに、先ほどまでのカウントの上に新たに【1/10】という表記が出る。

 これに気づいた才洲はあっけらかんと事実を皆に告げた。

 確かに面倒だ。正体不明のまま、おそらく制限時間が追加されたのだからな。

 さっさと何とかしないと。できれば火実たち職員候補生だけで対処させたい。


「また目が開きましたね。そろそろ動きましょうか?」


 閉じてからのおよそ10秒は何も起きず、再び開眼の時間が訪れる。

 この10カウントが終わると、数字が増えるのだろう。刻一刻とリミットが近づいている感じがする。

 それに危機感を感じた火実が観察から行動に移すことを確認してきた。


「そうだな。そろそろ探りをいれて―――」

「後ろです!」


 火実の背後から何かが近づいてくる。

 それにいち早く気が付いた瀑布川は咄嗟に叫んだ。


「…なんだぁ? 犬?」

「ぐっ…そっ…!」


 火実に近寄る謎の影の正体は、犬だった。それもボーダーコリーという犬種だ。

 首に腕時計型デバイスを装着しているところを見ると、参加者の誰か…この謎の空間を形成している能力者の仲間であることは間違いない。うめき声完全にヒトだし。

 生物を止めることのできない火実によって、腕時計型デバイスはまさに首輪のように犬に化けた敵を制している。

 まあいい。これが取っ掛かりになって敵を芋づる式に…


「………火実?」


 敵が向こうからやってきてくれたことで、この能力の突破口となる。そんな期待を抱きかけた矢先に

 火実が消えた。


いつも見てくださりありがとうございます!


パリィする

が結構ギャグセンス高くて見てしまう…

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― 新着の感想 ―
[一言] 旧作のリメイク多いね。今度は東鳩(ゲームだけど)
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