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【現実ノ異世界】  作者: 金木犀
死者に権利を 咎人には償いを
218/417

27 【死者よ、タチアガレ】 田武 1,000万回閲覧 2時間前に配信済み

「ネクロマンサー…いえ、尾張さん」


 田武という配信者がカメラの前で尾張を本名で呼ぶ。

 代理しか会っていないハズの彼が何故その情報を知り得ているのだろうか…。


「貴方の協力者から聞きました。尾張さんは今、死者(我々)の権利を勝ち取るために孤独に戦っているのだと…!憎き特対に追われながら、命を賭けて戦っているのだと…!どうして連絡をくれないのかと思っていましたが、とてもそんな状況じゃないんですね」


 配信を尾張が見ている事を信じ、訴える。

『我々は仲間である』ということを、強く主張する田武であった。


「貴方の協力者、塚本さんから話を聞いて、決めました…!僕たち死者も尾張さんの力になる事を!!」


 カメラの前で高らかに宣言する田武は、やる気に満ちていた。

 自分を救ってくれた恩人の窮地を救う為、全てを投げ打つ覚悟を決めているのだ。


「そこで、この配信を見ている、ネクロマンサーに救ってもらった皆さん。そしてネクロマンサー・尾張さん。3日後の土曜日正午に、澁谷ハチ公前に集合しましょう!決起集会です!!」


 拳をカメラの前に出し、気合いを表している。


「権利を認めてもらうため、今こそ、皆で立ち上がりましょう!!」


 そこで生配信は終了となった。















 ________













「配信お疲れ様です、権田さん」

「塚本さん」


 生配信のようすを近くで見ていた塚本…もとい卓也が権田を労う。

 今回も真里亜の能力で姿を変え、廿六木に権田の家の場所を特定してもらい接触したというワケである。

 真実の情報の提供と、治療能力を駆使し『自分が尾張に近しい死者』であることを権田に信じさせ、会話で巧みにコントロールして先ほどの配信を実行させた。

 事前に本多と接触し『代理人を獅子の面の男が務めている』という情報を得ていた事や、尾張の徹底した秘密主義が卓也の付け入るスキを生み出したと言える。


「あとは当日を待つばかりですね」

「そうですね。塚本さんも、色々と協力して頂きありがとうございます」

「いえいえ。あ、ダイレクトメールが来た人には…」

「分かってますよ。ハチ公が見える別の場所で待機するよう指示する…ですよね」

「ええ。2か所に分かれてリスクを分散したいですからね」


 予め野次馬的な人間と、DMを送ってくるくらい本気の人間を選別し、集合場所を分けるよう提案していた卓也。

 これはハチ公に鬼島派・衛藤派を行かせ、別のオイシイ場所には四十万達を向かわせるという意図があったからである。

 始めから尾張がDMなど送って来るとは思わないが、念のための保険だ。



「では、私は引き続き仲間を集めるので、権田さんは…」

「ええ。反応やDMが来たら塚本さんに知らせますよ」

「ありがとうございます。…ああ、そうだ」


 何かを思い出したように背広のポケットをまさぐる卓也。

 そして―――


「これをどうぞ」

「これは?」

「泉気補給ドリンクです。そろそろ切れる頃だと思うので、後で飲んでおいてください」

「いいんですか?僕の所にも後程届くと聞きましたケド…」

「万が一送れるような状態じゃない時に備えて、ですよ。権田さんは今や我々の中心メンバーのひとり。それが泉気切れで離脱なんてなったら目も当てられませんから」

「…ですね。ではありがたく」


 そうして、卓也の手から"泉気抑制剤"を受け取ると、二人は一旦別れた。


 廿六木から『田武が消滅した』と連絡があったのは、卓也が彼のマンションを出てから30分後のことだった。



いつも見てくださりありがとうございます!


3本目。

厄介なのは有能な敵よりも無能な味方。

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