性別 ~愛に理由なんて必要ないわ。夢にも、欲望にも、同じことよ~
「どうして?」 問い掛けても答えなど返ってきません
正解が存在しないのが恋愛ですから答えなど期待するだけ無駄なのでしょう
それはわかっていますが 僕の恋は確実に間違いですから
答えを求めてしまうのは僕の弱さの象徴なのかもしれませんね
「理由なんてどうでも良いわ。愛し合っているのは本当よ」
一人で悲しくなる僕に 強い君は優しくそう言い放つのでした
だけど愛を理由に軽蔑の視線に耐える決意はできませんでした
「どうして?」 どうして君はそんなにも強くいられるのでしょう
問い掛けた僕に 君は辛く悲しそうな表情で答えてくれました
「私は別に、強いわけじゃないわ。私は私を女だと思っているから、
あなたとの恋に間違いを感じないというだけよ……」
僕の一言が優しい君をどれだけ傷付けたか よくわかる言葉です
僕は 自分が弱いからと開き直り 君を苦しめてしまっていました
女の子になるのだと 言った君を僕は応援していました
そして僕は君と約束しました 女の子として君を愛するのだと
間違った恋愛ではなく 僕と君は他と変わらない恋愛を
男と女として繰り広げていくのだと 約束しましたものね
危うく僕はその約束を忘れ 破ってしまうところでした
「私はね、あなたのことを愛しているのよ。でも、あなたの
ために、女の子にまでなったわけじゃないわ。夢だっただけよ」
最後にそう言い切ってしまった君は やはり強いようです
僕は君を愛していますから 隣りに立ってみせましょう