0-0 ※世界観説明話
初投稿となり、未熟者ですがよろしくお願い致します。
また、これは説明話となります。本編は以降の回にて。
その時代、世界のエネルギーは枯渇寸前となっていた。
エネルギー資源を求め、人々は2つの行動を指針とする。
1つは衛星軌道上のプラットフォームから、更に空の果てへと手を伸ばし、新たな資源を得ようとする試み。
もう1つはその結果が出るまでの間は、地球を絞ってでも人類が活動出来るだけのエネルギーを確保する為の取り組み。
新たな資源の発見と利用が可能となってからほんの数年後。
実験基地でもあった衛星軌道プラットフォームの爆発事故により、大地は大きな傷を穿たれる事となった。
落下した建造部品。そして共に落下した、人体や自然を侵蝕する新資源によって。
事故後、2つの組織が落下した新資源と支配権の拡張を巡り争いを開始した。
新エネルギーの生産とインフラ整備を行い、当初は事実上国連の代わりとして活動を行っていた『国際エネルギー開発連盟(INFERD)』。
INFERDの活動が、非人道的な実験の上に成り立ってると主張し、対立する『Peace』。
どちらの組織も、国々に自陣へ付くように要請し、大半の国はそれに対し様子見を決め込んだ。
新エネルギーは人体に有害であるが、そこから得られるエネルギーを使用しなければ生きて行けないのだ。
いくつかの材質以外を侵蝕し増殖する上に電波を阻害する、しかし莫大なエネルギーを秘めた新エネルギー素材『テリクテークシス』。
その影響範囲の中でも侵蝕されずに活動出来る人間が世の中には存在していた。
汎用兵器『オルト・リューコス』は、どんな荒地でも侵入し、掘削作業を行うことが出来る汎用作業機械『オルト・テール』を改造し、『テリクテークシス』から取り出したエネルギーを使用して稼動するエンジン、『テリク炉』を積んでいる。
その為、機乗出来るのは『テリクテークシス』からの侵蝕に対し、対抗出来る者。
普通の人とは違う彼らを、人々は『アウトサイダー』と呼んだ。
『アウトサイダー』は普通の人々となんら変わらない見た目と、身体能力を有している。
逆に言えば、人体としての脆弱さは変わらず持ち合わせていると言う訳だ。
ただ『テリクテークシス』の影響下でも活動出来るだけの特徴は、何の因果か若年者程有している者の割合が多くなっている。
『アウトサイダー』でなければ安全に『オルト・リューコス』には乗れないが、『オルト・リューコス』に乗るのであれば『INFERD』と『Peace』の戦いに関与する事となる。
どちらの組織も、「少年兵を登用するのか」と問われて、何の対策も採らずに「はい」とは言い難い。
何しろ、戦争をするなら金が必要になり、一番大きな出資者は国となる。
過去の時代で大きく非難される事となった少年兵を、たとえ本人の意思だとしてもただ雇う事は出来ないと考えた2つの組織は、ここで1つの協定を結ぶ。
『アウトサイダーの生命の安全を約束する為
決められた戦闘エリアの中で
決められた威力以内の武装を使用し
共通の安全基準を満たしたオルト・リューコスを用いた戦いを行う』
兵器開発会社はその基準以内でオルト・リューコスに持たせる武器を作成し、オルト・リューコスのコックピットは本体フレームに一定の損壊や衝撃を受けた時点で排出されるように設定された。
戦いの透明化の為、戦場では両陣営共に行った録画映像が、互いの陣営と希望する国に渡る事となった。
各国へ渡った「人の死なない戦争」の映像は、やがてスポーツのように捉えられて行き、オルト・リューコス同士の戦いは小規模な物から大規模な物まで、一定の親しみと娯楽として人々の中に浸透して行った。
アウトサイダーは人ではないと言う者がいる。
アウトサイダーも只の人だと言う者がいる。
人と違う特徴を持ちながらも、人と同じように生活する彼らの日常は、やはり普通の人と違って、それでも普通の人と同じような営みが繰り広げられている。
これはとある基地の、そんなアウトサイダーの1人を中心とした物語である。