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第4話

キングスリング島と名付けたこの島の開拓を進める、ノボル率いる開拓団。


開拓の拠点となる集落をまず建設した。問題は、住民を呼び込めるかだ。


この世界にはキングスクラウン大陸を治めるキングスクラウン王国と、


キングスリング島と命名した、この島しかないのだから、キングスクラウン王国からの移民を募るといっても、それだけでは限度がある。


はっきりいって、キングスリング島の奥地には、ほとんど入り込んでいなかった。


開拓を進めていったら、新たな大陸が現れて、その大陸からまた移民を募って、人口を増やしていったらいいと、ミッテラン国王も、そしてイザコ・ドルチェも言っていた。


本当か?本当なのか?


僕、ノボルは思いきって、島の奥地まで行ってみることにした。


「というわけで、島の奥地まで足を踏み入れたいのですが、許可をいただけないでしょうか。」


島の奥地まで行くには、イザコ・ドルチェの許可をとる必要があった。


現場指揮官は僕だったが、実質の総合リーダー、開拓の総指揮をとっていたのは、やはりイザコ・ドルチェだった。


「しかしだな。これだけ人数もいる。全員が全員足を踏み入れるというわけにもいかないだろう。

ここは、選抜の何人かで行くのが筋だろう。

おっと、できればこの私も、一度行ってみたいものだな。」


イザコ・ドルチェ自ら行くと言った。


さて、今回行くメンバーは、


現場指揮官


ノボル


豪商


イザコ・ドルチェ


衛兵


マルセロ・ハンス


貴婦人


マルシア・アイーダ


町娘


カトレーダ・ピピン


それと、ブルース・ウィル・スミスという衛兵を連れていくことにした。


ブルース・ウィル・スミス、ああ、あのスキンヘッドの、筋肉ムキムキの、怪力自慢のあの衛兵か。


続いて各キャラクターの特徴について。


商人イザコは、商人というだけあって、手に入れたアイテムの鑑定などを行ったり、戦闘に勝利した際には、さらに余計にゴールド、つまりお金が手に入るという。


ちなみに、貯め込んだお金のことを『軍資金』と呼んでいる。その『軍資金』を使って、いずれは世界中のお宝をコレクションとして収集するのが人生の目的だという。


「いつか私は、世界中のあらゆるお宝というお宝を、この手に入手したい。」


衛兵マルセロ・ハンスは、魔法のかかった武器なども使いこなせるという。


「どんな武器でもお任せを。」


貴婦人マルシア・アイーダは、主に踊り系の攻撃?で、敵を撹乱(かくらん)するのが得意という。


「踊りなら誰にも負けないわ。大人の女の魅力で、セクシーダンスも得意なのよ。」


最後に、町娘カトレーダ・ピピンは、回復魔法の担当。他にも防御魔法や、攻撃補助魔法も使いこなせるという。


「この島の開拓を始めて数ヶ月。ここにきて、魔物たちの活動が活発になってきましたわ。

怖いですね、でも、皆さんの足手まといにならないようにがんばります。」


ちなみに僕、ノボルはというと、彼らに作戦を与えて、そして彼らはその作戦の通りに戦うということに。


ちなみに、戦闘系のスキルは、これしかなかった。魔法も使えず、武器も基本的なものしか使いこなせない。


だから、仲間たちに命令して、動かすというのが、僕の、唯一のスキルだった。


しかし、恋するカトレーダに、いいところを見せるためには、やはり自らが戦わないと…。


そこに、マッドドッグが一匹、さらに、カークリノラースという、こいつも野良犬系の魔物が現れた。


「出やがったな。」


僕は剣を振るった。


ズバッ!ザシッ!


僕はマッドドッグとカークリノラースを一撃のもとに葬り去った。


「楽勝、楽勝、こんなやつら。」


もっともこの野良犬系たちは、一番最初に出てくる、やられ役のような魔物たちだったのだが…。




僕らは旅の準備を整えていた。


そしていよいよ島の奥地へと旅立つ。


「ノボルさん!気をつけて!」


「ノボルさん、行ってらっしゃい、カトレーダちゃん、ノボルさんたちをよろしくね。」


町娘たちがノボルたちをお見送り。




そして島の奥地に入っていく。しばらくは鬱蒼(うっそう)とした森が広がっていた。


その森をしばらく行くと、住居跡が見えた。


いくつかの朽ち果てた民家らしき建物、それと、やはり朽ち果てた店の看板が、地面に落ちていた。


どうやらこれは、何かの店だったらしいが、かつての面影もなく、無残な姿をさらしていた。


そこに、光るものを見つけた。


「これは…。どうやら古い時代のコインのようだ。」


他にも落ちていないかどうか探しあてることにした。


どうやらこれは銅貨(どうか)のようだ。銅貨(どうか)があれば銀貨(ぎんか)金貨(きんか)もあるのでは?と思って探していたが、結局銅貨(どうか)しか見つからなかった。


「ふむ、このような古銭(こせん)が見つかるということは、この住居跡は、かなり古い時代の集落の跡ということになりますな。」


商人イザコは口にした。このような古銭も、イザコのコレクションの中にはあるとか。それもいろいろな時代のものを収集しているという。


イザコの自慢話はともかくとして、この際だから、この住居跡、あるいはその周辺地域で、古銭の収集でもしようか、と、僕は思っていた。


一度探したと思ったところでもくまなく探さないと…。


しかし、なぜこんな古い時代のコインが、アイテムとして扱われるんだ?


どうやら、今の時代の通貨としては使えないようで、あくまでも古銭としての価値であり、したがって売り物にしてゴールドに換金する以外に、使い道がないようなシロモノだという。


もしかしてこれを、一定の枚数集めたら、どこかのこういう古銭をコレクションしているような王様なり何なりが、レアなアイテムと交換してくれるとか…?


その時だった。今までにない振動を感じた。


「な…、何だ!?」


住居跡は思いのほか高地にある。そこから見えるのは、ついさっきまでは無かった、別の大陸だ。


「はて、つい昨日まではこんな大陸は無かったと思ったけどな…。」


僕はいったん集落に戻り、新たに出現したその大陸の様子を見てみることにした。


集落までは瞬間移動の魔法で戻ることにした。


実は僕は、瞬間移動の魔法だけは、こちらの世界にやってきたその時から使えるようになっていたのだった。


なぜだかは知らないが…。


「瞬間移動!」


キュイーン!




いったん集落に戻り、あらためて、突然現れた大陸を見てみる。


集落の人々も、この大陸の出現に驚きを隠せなかった。


「ノボルさん、ノボルさん、見てくださいよ。

昨日まで何も無かった海に、突然あの大陸が姿を現したのです。」




あれが……。




ぎょえええええーーーっ!




ファンタジー世界では、現実には考えられないことが起こるのである。


さっそく、行ってみることにしたが、何しろその位置は、キングスクラウン大陸のさらに北、しかも、見たところかなり大きな大陸らしい。


これは、キングスクラウン大陸よりも大きいんじゃないか。


僕らはみんなで船に乗り、その大陸の海の玄関口と思われる、小さな港町に到着する。


「ここは、レディーファースト大陸というんだ。」


どうやらそのような名称らしい。


「えっ?前はこんな大陸無かったって?

何を言ってるんだ。この大陸はずっと昔からこの位置にあったんだよ。

あんたらが知らなかっただけなんじゃないか?」


ずっと昔からあった?


僕らにとっては、それこそ、?【ハテナ】マークがつくような解答だった。


さっそく、キングスクラウン大陸、そしてキングスリング島について、その住人に話してみた。


「キングスクラウン大陸?

それ、どこの大陸なんだ?そんな名前の大陸、知らないよ。

それに、キングスリング島だって?

無人島?そんな島があったのか?

そんな名前の島なんて、知らないよ。」




なんてことだ…。逆にこのレディーファースト大陸の人々から見たら、


キングスクラウン大陸や、キングスリング島の方が、知られていない存在だという…。


いったい、何がどうなっているのか、よくわからなくなってきた。


ひととおり、この港町を散策してみることにしたが、あとは特に物珍しいものもないようだ。


「待てよ…?これはもしかして、この数ヶ月間、ひたすら無人島の開拓にいそしんできた成果なのか?

だとしたらいずれ、このレディーファースト大陸からも、移民希望者を募らないとな…。」


しかしまあ、このレディーファースト大陸からは、いろんなものが、海に捨てられて、流されていっているようだ。


それらの物品は、ちょうど無人島、キングスリング島の方角に流れていって、この流れに乗っかっていったら、そのまま海岸に流れ着くことに。


そこで、イザコがあるアイテムを持ってきたようだ。


どうやらそれは、『錬金釜(れんきんがま)』というアイテムのようだ。


「こんなこともあろうかと、このイザコは、『錬金釜(れんきんがま)』というのを用意しておいたのだよ。」


たとえば、一見するとただのゴミとも思える、海岸への漂着物(ひょうちゃくぶつ)なんかでも、この『錬金釜(れんきんがま)』を使って組み合わせることによって、とんでもないレアアイテムに生まれ変わるということなのか。


ではさっそく、試しに使わせてもらおうかと、僕は思った。


このマネキンの頭と、それと、鉄の鍋で、何ができるかな…。


さっそく釜の中に入れてみた。すると…。


ポン!


マネキンの頭+鉄の鍋=鉄の鎧


なんと、鉄の鎧が出てきたぞ。この調子で、他の組み合わせもどんどんいこう。


ポン!


ポン!


鉄の鎧+魔法石=魔法の鎧


さっきつくった鉄の鎧と魔法石で、魔法の鎧ができたぞ。


ワインの空きビン+折れたクギ=鉄の鎧


鉄の鎧+魔法石=魔法の鎧


さらにもう一着。この二着の魔法の鎧は、僕、ノボルと、衛兵のマルセロ・ハンスが装備することになった。


魔法石+お鍋のふた=魔法の盾


魔法石+お鍋のふた=魔法の盾


さらに魔法の盾も二つ。


これも、僕、ノボルと、マルセロ・ハンスで装備させてもらうことに。


それにしても、なぜかこの世界の海でも陸地でも、


『魔法石』というアイテムが、そこらじゅうで見つかって、しかも錬金釜を使った錬金の材料として、広く活用されているのだな、ということを知ったのだった。


この世界の魔法について。

この世界の魔法の名称には、なぜか日本語の、日本の昭和歌謡の曲名や歌詞の内容を思わせるような名称が使用されているという。

ノボルは平成生まれ世代なので、そのあたりのところはよく知らない。

ノボルの親世代や祖父母世代がちょうど聞いていたような歌の数々というが、正直な話ノボルにはピンとこなかった。




『ヒデキカンゲキファイヤー』


炎系の攻撃魔法。


複数のザコ敵を炎で包み込んで焼き尽くす。炎の勢いがあるので、少々レベルの高いザコ敵でも焼き尽くせる。ボス戦でも使える。


『イヨマンテ』


爆発系の攻撃魔法。


『イヨ』系は基本的に、爆発系の攻撃魔法で、『イヨマンテ』はその系統の中でも最強の攻撃魔法にあたる。


『アオイマウント』


吹雪系の攻撃魔法。


『マウント』系は基本的に、氷系の攻撃魔法で、氷の矢を放つ『ニシパマウント』などもあるが、『アオイマウント』は、吹雪による攻撃で敵にダメージを与え、そして凍りつかせるという。


『カゲシタ』


死の魔法。残りHPに関係なく、一発で敵を仕止められる。


『メリーアン』


混乱系の魔法。敵を歌声で誘惑し混乱させる。


『サイレント・イヴ』


眠りの魔法。敵を無気力にして眠りへと誘う。


『フユゲシキ』


やはりこれも吹雪系で、敵全体を包み込む。

寒さに弱い属性でなくても、大ダメージを受けるほどの猛吹雪という。


『ナツノココナッツ』


やはりこれも炎系。名称は違っても系統は同じという魔法も数多く存在するという。




正直な話、ノボルは、


『自分さえよければ他人はどうでもいい』


という考え方を、持っていなかったといえば嘘になる。


が、この冒険の旅を通して、次第にそうした考え方は変わっていくことになっていくのだった。




錬金スキル、魔法スキル…。楽しみ方はたくさんあるが、


ただザコ敵を倒してレベルを上げればいいというものでもないようだ。




レディーファースト大陸から、再びキングスリング島に戻ってきた。


次なる目的地は、昔の住居跡のさらに奥地にあるダンジョン。


ここから先は、ノボルたちはもとより、今まで誰一人、足を踏み入れてこなかった場所だ。


幸い、昔の住居跡には、セーブポイントがあり、そこでそれまでの記録をとることもできるし、

それと、セーブポイントからは、一度行ったところなら瞬間移動で行くことができるという。


僕らの居住区、ネオアイランドシティにも、いつの間にかセーブポイントができていた。


『カントリー牧場前』と『オールフードファクトリー本社事務所前』という、2つのセーブポイントが、僕らの居住区の中にある。


そこでセーブをとったり、あるいは道具屋もできているから、そこで薬草や、毒消し草、あるいは『疲労回復フルーツ』というアイテムを買いだめしておくこともできる。


これらのアイテムはHPの回復や、歩き疲れたりした時の疲労回復のためには、絶対に必要になってくるアイテムだ。


「それでは、みなさん、参りましょうか。」


ノボルの呼びかけで、パーティーは島のさらに奥地へと向かっていくことになった。


この先はもう、うっそうとした山林や高地が続くだけ。町も村も無い。


まさに、道なき荒野とはこのことだ。


「気をつけて進もう…。」


いったいどこまで歩いたのかも記憶に無い。


気がついた時には、目指すダンジョンは、もうすぐそこだった。



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