第14話 コロボックルとゴブリンの洞窟
この第2の無人島という、まだ正式な名前すらつけられていなかった島に、外部の人間として初めて降り立つ。
「やっほー!おいら、コロボックルのココロっていうんだよ。」
大型の帆船、クルーザー、観光用のジェット船、これは別名水上バスともいう。
さらに物資の輸送のための大型タンカーまで用意した。タンカーは船団の後方を航行する。
さすがに、これだけの大船団になれば、さぞや国軍は驚くに違いない。
「なな、なんだあの大船団は!?
見たこともないような船が多くあるぞ!」
案の定、国軍の兵士たちは驚き、唖然呆然とただその様子を、指を加えて見ていることしかできなかった。
「いやー、これで心おきなく船旅ができますな。」
ついでに、ドルチェ家とアイーダ家の秘話についても聞けた。
ドルチェ家とアイーダ家は、共にキングスクラウン王国では1、2を争う大富豪の家系として代々栄えてきた。
そのドルチェ家の今の当主がイザコ、一方アイーダ家の今の当主がマルシア、ということである。
この話はまた次の機会にでも続きを聞くとして、どうやらこの第2の無人島には、今まで人間は1人も住んだことはないという。
したがって、ノボル率いる開拓団が、この第2の無人島に足を踏み入れる、初めての人間というか、人間族で初めて上陸するといった方がいいかな…。
そしてついに、ノボルたちは第2の無人島に到着し、上陸を果たした。
「いやー、本当にここは、人間が誰一人足を踏み入れていない、まさに手つかずの自然がそのまま残っているようなところだな。」
この島にはシカやイノシシが生息しているようだ。
また、野鳥のさえずりも聞こえる。
その時だった。人間以外の、どうやら亜種族と思われる者たちの、気配を感じていた。
どうやらこの島には、人間族以外の種族がいるようだ。
その時だった。そこにいきなり、小人らしき者が現れ、そしていきなり、飛びはねながら話しかけてきたのだった。
「やっほー!おいら、コロボックルのココロっていうんだよ。」
いきなりノボルたちに話しかけてきた、コロボックルのココロ。
コロボックルというのは、いわゆる小人族。
ノボルたちもコロボックルのココロに、自己紹介をする。
「僕はノボル、こちらは供の者たちだ。」
「じゃあ、オイラたちの集落に案内するよ。」
ノボルたちはコロボックルの集落に案内してもらうことに。
コロボックルの集落は、まるでおもちゃの家のような、小さな家が建ち並んでいた。
コロボックルは小人族なので、小人族からみたらノボルたちは、山のような巨人に見えるそうだ。
当然、コロボックルたちの家の中には出入りすることができない。
「あのね、実はね、ノボルさんたちにお願いしたいことがあるんだ。」
それは何なのか…。
「実はね、最近僕らの集落を、悪いゴブリンたちが荒らしにくるんだ。
家を壊されたり、僕らの仲間たちも犠牲になったりしてるんだ。」
ちなみにそのゴブリンたちの大きさは、ノボルたちとほぼ変わらない。
だから、コロボックルから見たら、ゴブリンたちはまるで、町を破壊しにきた怪獣のように見えるそうだ。
その話を聞いたノボルは、あらためてココロに聞いてみる。
「ゴブリンくらい、簡単に倒せるんじゃないか?
なんたって魔物の中では弱い部類に入るからね。」
するとココロは、こう返してきた。
「それが、ただのゴブリンだけじゃないんだよ。
そのゴブリンたちを率いる親玉が、めっぽう強くてね。
僕らの仲間も、何人もそいつにやられてるんだ。」
「それで、そのゴブリンたちは、どこにいるんだ?」
ノボルはココロに聞いてみた。
「この先の森の洞窟を拠点にしているらしいよ。」
それを聞いて、ブルースが言った。
「ふん、それじゃあ、早速そのゴブリンたちを討伐しに行こうか。
俺たち衛兵は、この手の戦いにおいてこそ、その力量を発揮できる。」
人間族はいないが、他の種族とかはいるようだ。
ここにはゴブリンをはじめ、魔物がウヨウヨしているようだ。
セーブポイントは…!
あった、セーブポイントだ。これでいつでも瞬間移動で戻ってこられるし、これまでの記録を残していける。
ノボル「ゴブリンか…。敵の魔物の中では弱い部類だが、腕試しにちょうどいい。
それに、どのみちそのような連中を放ってはおけないからな。」
まずはセーブポイントに記録する。
ノボル「セーブポイントってのは本当に便利だな。
これまでの冒険の記録、
それとHP、MPも全回復、
それと旅の疲れもとれる、
『疲労度』のステータス、これは数値が上がるほど疲労がたまっているということを示すが、
その『疲労度』も、セーブポイントでのセーブで瞬時に『0』にできるという。
さらには、瞬間移動すれば瞬時にセーブポイントのある場所まで移動もできる。」
まさに、ファンタジー世界の『道の駅』とでもいおうか、と、ノボルは考えた。
「それじゃあ、いくぜ!」
ノボルたちはそのまま、ゴブリンたちのいる洞窟へと向かっていった。
ここから山道をまっすぐ登っていけば、目指すゴブリンたちのいる洞窟が見えてくる。意外と近い。
ここは自然の洞窟をそのまま利用しているようだ。
ゴブリンなどの小鬼族は、実はダンジョンのような暗いところでも平気で過ごせるのだそうだ。
「さあ、いくぞ!」
とはいったものの、これまでは町づくりで、どちらかというと頭を使う方が多かったノボル。
果たして、剣の腕がなまっていなければいいのだがと、仲間たちの誰もが心配していた…。