表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/26

第10話

無人島開拓の醍醐味、それは人によって様々だろう。何年も無人島で暮らしていても、また新たな発見があったりするから、奥が深い。


もちろん、開拓団を送り込んで集落を建設し、開発を進めていくのも、それはそれでいいのだろうが、


どうせなら、この無人島でしか手に入らない、果実を食したり、魚介類を採ったりするのも、また醍醐味だったりする。


今日はノボルは山の中へ。山の中は虫に刺されたりするといけないので、虫除けの薬を塗っておくと効果的なんだそうだ。


念のため、今日はカトレーダと、マルセロ、そしてブルース・ウイルスミスを連れてきている。


「おや?あれは…?」


どうやらこの島にしか生息していない、これは、見た感じはマンゴーの一種であるようだが、


こういう果実とかは、実際に口にしてみないと、わからないところがあるからなあ…。


この果実の色は、黄色というか、オレンジ色というか、とにかく、そんな感じの色だ。


「気をつけないとな、こういう果実の中には、不味(まず)くてとても食えないようなものとか、

変な味のもの、毒入りのものとかもあるかもしれないからな…。」


それで、まず最初に誰が味見するかということで話し合う。


まずノボルがカトレーダに持ちかける。


「カトレーダ、どう?」

「えっ!?ノボルさん、いきなりそんなこと言われても…。

ここはマルセロさんが、まず最初に味見するべきですよ。」


カトレーダはマルセロに話を振る。


「えっ!?ちょっと待ってくださいよ。ノボルさんに、カトレーダさん。

おおそうだ!このさいだから、ブルース・ウイルスミスに味見してもらおうよ。」


マルセロはブルース・ウイルスミスに味見するように言った。


「おいおい、なんでこの俺がそんなこと…。

不味(まず)かったり、毒が入ってたりしたら、誰が責任とるんだよ。

まず最初に、ノボルがやるべきじゃないのか?」


で、結局誰も味見をしたがらず、ノボルに話が戻る。


「それじゃあ、僕がまず味見をするよ。」


「どうぞどうぞどうぞ!」


ノボルは恐る恐る、その果実を口にいれた。すると、


「…うまい!これは甘くておいしいぞ!

みんな、さっそく食べてみてよ!」

「ええっ!?」

「本当か!?」

「本当なのか!?じゃあさっそく食わせろよ!」


そしてみんなで一人一個ずつ、まず一口ずつ味見をしてみる。ついさっきまでいやがっていたくせに…。


「甘くておいしい!」

「これはおいしいな!」

「さすがだぜノボル、これはもしかしたら、島の名産になりそうだぜ。」


評判は上々だった。そうなると、この果実に名前をつけないといけないなと、ノボルは思った。


「そうだ!この果実は、『キングスマンゴー』と名付けよう!」


「キングスマンゴー!?」


こうしてこの果実は、


『キングスマンゴー』


と、命名されたのだった。


それに続いて、今度は、この島でしか採れない、魚介類を採りにいくことになるのだが…。




この島の周辺海域でしかとれない、幻の高級魚があるという。


周辺海域では、いくらでも魚や貝、タコやイカなどもとれるが、それらは別に、ここの海域じゃなくてもとれるようなものだ。


こういう時は、やっぱり腕っぷしの強い漁師に頼むしかない。


「と、いうわけで、僕たちに力を貸してください。」


幻の高級魚をとるために頼み込んだのは、漁師のハルク。この町一番の漁師。


しかしほとんどキングスクラウンと、キングスリング島の周辺以外との交流は今のところ無いため、町一番=国一番ということになる。


「あいよっ!わかった!」


こうして、幻の高級魚がいるという海域に船を出す。




「おおっ!来た来た!」


次から次、魚やら、貝やら、いろいろかかる。


これはまさに大漁だ。大漁ではあるが、異常なほどの大漁で、逆になんだか怖い。


そして!


「来たあああああっ!」


ハルクが声をあげる。


「これぞまさに、幻の高級魚!しかも一匹だけじゃなくて何匹も!何匹もかかってくるぞ!」


クエ、スマ、シロアマダイ、1種類だけでなく、何種類もの高級魚が、次々と網にかかる。


そして、そんなクエ、スマ、シロアマダイの中でも、特にこの海域でしかとれない、幻の高級魚というのが、


『プラチナクエ』


『シルバースマ』


『ダイヤモンドシロアマダイ』


それぞれ、宝石や貴金属の名称がついている。


まさに『海の宝石』という別名がついている、高級魚の中でも個体数が少ないとされる、幻の高級魚たちだ。


「これは一生かかっても手に入らない、食えないようなシロモノだから、ぜひ食っとけ!

それから、あえてこれに値段をつけるとしたら、それこそ一生遊んで暮らせるくらいの値段になるぞ!」


ハルクは自慢気に語る。


「ありがとう!幻の高級魚が釣れたことを、さっそく町のみんなに報告するよ!」


ノボルたちにとってはまさに、感謝感激だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ