家
彼は人を守るために生まれてきた。
何年も人の暮らしを見守っていた。
人が来ては、また去り。
いくつもの人々と時代を見守り続けた。
そんなある日から人が来なくなった。
何年も何年も待ったが誰も来ない。
空っぽになった彼の中には冷たく埃がつもら一方で、彼もどんどん年老いていった。
ある日彼のところに久しぶりに人が来た。
彼の中に懐かしい日差しが差し込む。
だが、人はそこに長くはいなかった。
彼は少し残念に思った。
また、彼のところに人が来た、今度は人数が増えていた、少し嬉しく思ったがどうも様子がいつもと違う。
その日は何もなく人は帰った。
それからしばらく、また彼のところに人が来た、今度は大きな機械もやって来た。
彼は自分の最後を悟った。
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彼のいた場所は冷たいコンクリが貼られた平地、今は車の居場所となっている。