パンツ一丁だったあいつはまさかの。。。
閉鎖された国だから他の国のことは全く分かんないが、俺たちの国は意外と豊かだ。
年中温かい気候で飢えることもないし、天候も悪くなく、雨と晴れが魔法の結界によって丁度いい感じにしか来ないから、作物も育つし、種類もいっぱいある。
王国って言っても他の国に比べたらとっても小さいらしく、人口は1万人くらい。
他が分かんないからこれでも立派だと思うけど、昔はもっともっと大きくて、ここ王都以外にもいっぱい町や村があって、山脈を覆い尽くすぐらいおっきかったらしい。人口もいっぱいいたんだって。
でも結界の力が弱まって来て、今はここ、王都って呼ばれる世界で一番高いって言われるホージーマウンテンの山頂一角と周りに数個の村しか結界が覆えなくなっちゃったんだって。
王国って言っても世襲制じゃないから王様はそんな偉くないし、フツーの気のいいおっちゃんだ。
どうやって決めるかって、それは超能力のレベルで序列が決まってて、強い奴が国中の一位が王様になる。例外はたぶんない。
各なる俺も王様候補の一人なのである。(まだ能力測定してないからわかんないけど、力は強いって言われてる。)
そんな国でも孤児はいるわけで、王様候補の俺もアイリスも、この王国直営の修道院と併設された孤児院に住む孤児だ。
10歳以下の序列が決まる前まで住める。俺ら以外にもあと800人くらいいる結構な大所帯だ。
何故か分かんないけどこの王国は孤児が多いいらしい。
たぶん俺らが生まれた丁度その頃、大人しかかからない病気が流行ったせいだって先生は言ってた。
この国の国民はみんな少なからず特殊能力を持っている。物を浮かせたり、心を読めたり、それはまあ色々な種類がある。強弱も様々。
でも共通してみんなマナは操れる。体の中にある気みたいな物。言葉で説明するのは難しい。
能力が弱くてもマナさえ扱えればテレポストーンやストーブ石、水道石、オート掃除箒、空飛ぶ箒などなど、、を使えるから生活は楽だ。
でもこの国の外の世界ではとっても珍しい事なんだって。
下界の人はマナを使えないんだったらどうやって生活してるんだろう。
暖炉の火だって起こせないし、手紙だって出せないに違いない。掃除だって自分の手でしなきゃいけないし、水道石も無いんじゃ水だって使えないに決まってる。
とっても不便になんだろうな。
俺たちの学校は、とっても大きくてみんなこの王都の学校に通ってる。一校しかない。
それはそうと朝食の時間が始まってしまう。
そして今日は朝食のあとは能力のレベル測定日だ。10歳になるとレベルが図れる。
レベルが図れるって事は、序列入りするって事で、国のトップ、国王になれるチャンスでもあるって事だ!まだ10歳だからトップ100入りは無理かもだけど、まだまだ俺は強くなれる。
。強くなったらアイシスとここから出て広い世界を見に行くんだ!
「アイシス、もうすぐ光学迷彩を辞めるから自然に場に馴染む様に出て行くよ。」
アイシスに小声で話しかけると首元でうなづく気配を感じた。こそばゆい。
もう大広間の入り口の手前、あときっかり43秒で大扉は閉まってしまう。
忍足で壁伝いに近づきながら光学迷彩を切る。
切る一瞬前、遠くから国王のおっちゃんの視線を感じた様な気がした。
「シンとアイシスか。なんとか滑り込みセーフだな今日も。」
後ろで大扉が閉まる。扉番のにいちゃんにはもう顔も名前もばれちゃってる。
「毎度どうも」
ペコっとアイシスもお辞儀する。
変態な目でアイシス見んな。変態野郎め。
そして俺は変態にいちゃんの名前を知らないけどな。
大広間で食べるのは俺たちみたいな孤児と修道院の人、また城に住む政治家とか兵隊さんとか王様だ。
国民の半分くらいの人数がみんな大っきな広間で一斉に食べる。
逆に食べないのは、たぶん商人をしている一家や、農業みたいな事をしている一家、あと生活魔法を職とする人達。
偉い人から俺たちみたいな穀潰しまでみんあ大っきな広間で食べる。
俺たち孤児の10歳以下は年齢順に席が決まってる。
それ以上はみんな能力の序列で座る。
今日は朝食のあと今年10歳になるやつが国中から集ま
るから緊張している気がする。
朝の礼拝が終わり、テーブルに朝食が魔法で出現した。生活魔法を扱える奴は偉大だと思う。うん。
今隣に座ってるアイシスだけど、もしも今日、序列ができちゃったら隣に座れないかもしれない。
そんな不安が頭をよぎった。
基本、大広間で食べる食事は質素だ。国王も序列入りしてる大仙人も同じものを並んで食べている。でも物心ついた時はもうちょっと豪華だったかもしれない。これも結界の力の弱まりのせいなのかな。
でも今日は年に一度の序列変更の日なのでいつもよりちょっと豪華な気がする。
「アイシス。そんな奴についていってるとお前まで食いっぱぐれるぞ!」
ソバカスに赤毛のサムがアイシスにばっかりつきまとう。
「ソバカスくん。口の横に新しいソバカスが増えてるよ。」
いつも思うけどサムは不器用で食べ方が汚い。ポロポロ零すもんだから口の周りがいつもクワンクワンだ。
「うっせ。これはいざって時の非常食だよ。」
なかなかユーモアがあるやつでもある。
身長が俺よりも高い以外は特に俺に勝ることもない平凡な奴だ。
それに日常でも不器用だから、サイキックも不器用で細かい操作が苦手な奴だ。たぶんもう並んで食事するのも最後だろう。
「お前の軽口叩くのもこれが最後かもしれないな。ソバカスくん。お前も能力の方頑張れよ。じゃないと一生アイシスの隣に座れないぜ。」
「お、お前!ソバカスソバカスって!俺の名前とうとう覚えないつもりかよ!」
真っ赤な髪と同じくらい耳を真っ赤にさせて怒るサム。
「俺だって、俺だって、アイシスみたいにお前の隣に、、、、」
とうとうサムは目に涙をこしらえてしまった。口に米くっつけて涙目で怒る姿はちょっと可愛いと思ってしまった。
「ちょっとシン。いつも憎まれ口ばっかり叩いて。。本当に二人とも素直じゃ無いんだから」
アイシスはいつもの笑みを絶やさず言う。
待ってよ。サムは俺の事嫌いじゃなかったの?
「なんだよ。お前俺につかっかってばっかり来るから、てっきり嫌われてるのかと。」
それに俺はサムの名前知らないわけじゃ無いし、
「それに俺はお前の名前知ってるよ。」
「じゃあ言ってみろよ!!!知らないくせに。」
サムはまだ意地になってる。
「サムエルだろ?」
「、、、、、、サムエルじゃねーよ」
「?うそ?ソバカスが本命なの?」
「サマンサだよ!!」
サムはサマンサだったのか。
。。。
サマンサ?。。。
「待って、。お前女だったの?」
サムを改めサマンサは赤毛よりも赤い顔をして泣きながら立ち去ってしまった。
まだ食事の途中だというのに。。。
「かわいそうに。サム。シンの自分にしか興味が無いところ僕よく無いと思うな。」
「だってあいつ自分の事俺って言うし、、、
お前サムが女だって知ってたの?」
サムとは一緒に湖で泳いだこともある。みんなパンツ一丁で、、あいつだってパンツ一丁だった。
「もちろん知らなかったにきまってるじゃん。サムって胸真っ平らだね。乳首も男と全く変わんないんだもん。分かるわけないよ。僕が女って方が信ぴょう性あるよね」
アイシスは変わらぬ笑顔で涼しそうに言う。
「お前、、、、あいつが聞いてないからって。。お前はそう言う奴だったよ。」
アイシスは俺より何十倍も図太い神経をしてる事を今更確信した朝になったのであった。
サム君は女の子
そしてアイシスは以外と冷徹。。