1、シンの朝の日課はフルボッコにされる事から始まります。
ホージー王国の人間は総じて長生きである。
他の国の人間がどのぐらい生きるかなんて知らないが、ここの国のジジイ共は杖を突きながら坂をゆっくり時間をかけて上がって来るくせに、武術の時間は片足で飛び回り片手でねじ伏せる。
マスターローと呼ばれるこのジジイも典型的なこの国の老人である。
仙人と呼ばれるだけあり、見た目はただのヨボヨボ爺さんだが、ガチガチの武術家でいつもシンは稽古と言う名の憂さ晴らしでボコボコにされるのが朝の日課であった。
「お前なんか指一本で足りるわい。」
心を読んだかの様なタイミングでロー仙人の決め台詞。
ジジイの杖はただの飾りか。
心の中で悪態を付くとハイキックが顔面横にヒットした。
「指どころか足使ってるじゃねーか!、、ですか!」
怖いから一応敬語をつける。
吹っ飛ばされて柱に激突したが、もう今週で5回はこの柱に激突してる。
痛みも慣れっ子になりつつあり、素早く立ち上がると構え直した。
「ほう。まだそんな口を聞く余裕があったか小僧。それでは捻り潰してくれるわ!」
いちおう敬語使ったし!!いつもの事ながら心の中で悪態を付く。
激しい攻防の末、やはり最終的にはこの化け物の様な仙人に一発も当てられずに終わるのが俺のここの所の日常だ。
今日もいつもと同じく、俺の攻撃は一発も掠らず、ロー仙人にちぎっては投げられた末、武術室の隅に転がさた。
もうここいらで終わりにして欲しいと言う思いが悔しさに勝った丁度いいタイミングでロー仙人の終了の声。
助かった。。
「シン。今日の朝の武術の時間はこれで終わりにしといてやるわい。
ちと今日は気合いが入りすぎてボコボコにし過ぎたわ。それから今日は大事な日と言っただろう。早くアイシスに怪我を治してもらえ。」
(ボコボコにするのはいつもじゃねーかよ。早く隠居しちまえじじい。)
心の中で悪態を付いたが、つい忘れていたがこのおじいちゃんはマインドリーダーだった。
「わしの手前で良くそんな事が思えるのう。シン。もう一回はじめっから稽古つけてやろうか。」
「すいませんです。マスターロー。いつも考えるより先に思ってしまうんだよ。です。」
とりあえず慇懃に返しとく。もう今日の所は殴られたくない。目をぎゅっと握っり攻撃に構えると天使の声が救済には入った。
「マスターロー、もう直ぐ朝ごはんの時間ですし、これからもう一回稽古したらとてもじゃないけど間に合いません。今日は私たちの晴れ舞台になる日でもありますし。シンもわざと思ったわけではあるまいし、ここまでにしておいてください。僕に免じて」
金髪を靡かせ美しい少年が駆けつけてくる。なんとも美しい微笑み。クソジジイの後に見るアイシスは男ながらマジ天使。今日もアイシスは一層美しく見える。これで女だったら絶対俺のものにしてやるのに。。。
「おお、アイシス。グットタイミングだわ。それもそうだな。アイシスみたいな良い子がこのエロガキの幼馴染だなんて信じられんわ。おいエロガキ、早く準備せい。蹴り飛ばすぞ。」
グットタイミングってまた下界の言葉ですか。このミーハーじじいめ。しかもこのちっちゃな王国の同い年で幼馴染じゃない奴なんているかよ。
思った瞬間に頭を叩かれた。
「下界の言葉は若い奴だけの特権じゃねーわい。
わしはもう行くから、シンはもう能力を解放して良いぞ。それと遅れたらまた食いっぱぐれるからな。いくらお前だからと言って例外はないぞい。」
ロー仙人は突然現れるが去るのも風の様に早い。。。あのじじいテレポは使ってないはずなのに。。。
とりあえず準備しないといけない。あと十分で朝のお祈りの時間だ。ここの朝食は朝のお祈りに一分でも遅れると食いっぱぐれてしまう。
アイシスの手が金の温かい光に包まれて、アザになった腹や腕をヒーリングで癒してくれる。
「またこんなになるまで修行して。。新手本当ドエムだよね。それにロー仙人だってもうお年なんだから毎朝じゃかわいそうでしょ?」
アイシスはいつもの説教モード。
「っへ。あのじじいが可哀想だと?ボコボコにされてる俺の方がよっぽど可哀想じゃないか!!」
それに健康な肉体をありあますと健康な精神が宿らないってロー仙人が言ってたんだぜ。
心の中でぼやく。
アイシスがヒールしてくれるとあっと言う間に回復する。
もう行く時間だ。
「もう時間ないからアイシスは俺におぶさって。肉体強化して近くまで屋根伝いで行くから。」
「でもまたバレちゃわない?」
アイシスが不安そうな顔で言う。
「なんのために光学迷彩覚えたんだと思う?」
アイシスはどんな顔でも可愛いな。。
「もう。。。ドヤ顔キモいからやめて。それとやるならさっさとして」
光学迷彩は自分の姿を隠してくれる能力だ。
簡単な幻覚も見せることができる。
「最近アイシスもなんか俺にきつくなってきたよね。」
アイシスはいつも優しいから毒を吐かれたら結構精神的ダメージが高いな。
「さっさとして。」っとぶっきらぼうにいいながらアイシスの両手が首に優しく巻きついた。
これだからアイシスの事は嫌いになれない。。
俺は屋根まで飛び上がって朝食を目指すのであった。
一話目。初めての小説なので右も左もわからないです。