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落下系主人公&落下系ヒロイン

 生まれてこの方俺は下降の人生だった。

 漠然と言えば、不運な人生だった。

 二分の一ならもれなく外れるし、三分の一なら確実に外れる。その癖、入ってほしくない時に関しては見事に大当たりをしてしまう。

 くじ引きは何回引いてもティッシュしか貰えないし、出たと思えば既に他の誰かが当選していた玉が紛れ込んでいたとか、そういう不運ばかりだ。

 本来は私立の小学校に入るはずだったというのに両親がインフルエンザで倒れて受験票を提出出来ずに公立の小学校に入学。

 中学こそは私立中学を、と意気込むも受験当日に交通事故に遭って公立中学校に入学。

 私立はもう嫌だということで公立の中で一番頭がいいと言われている高校を目指したが、その高校はイジメの発覚をキッカケに部活動での体罰や金銭面でのトラブルなどが露見し、俺の年だけ受験の受付を中止した。それが十二月のことだったからさぁ、大変。俺の場合はヤケクソになって家から一番近い公立高校に入学した。

 さておき。

 中学二年生くらいの時からライトノベルにはまって、とある作品に出会った。その主人公がよく言う台詞を、著作権に影響されない程度にパクらせて今の状況を端的に叫ぼうと思う。吼えようと思う。

「不運だァァァァァァァァァァっ!!」

 現在も俺は下降中だ。運の話だとか人生をグラフに表すとか、そういうことではなく、リアルに。現実的に物理的に下降中だ。もっと言うなら落下中だ。

 風が痛い。変に体を動かしてしまえば空気抵抗に勝てずに体が変な方向に曲がってしまいそうな気すらもする。いや、もう、何なんだこれ。

 どうして、いつものように隣の家に住む幼馴染に朝起こされて、いつもの如く登校しようとしたら、空間の裂け目のような場所に吸い込まれなければならないのだ。非現実的過ぎるだろ。

 しかも気が付いたら大空で、絶賛落下中で、幼馴染は気絶しているなんていう異世界系ライトノベルのテンプレ状態を経験しなければならないのか。

「うるっさいなキョウ! なんであんたは――って何コレ!? っ……」

「俺を罵倒して気絶してんじゃねぇよ、ユウ!」

 改めて自己紹介をしようと思う。もしかしたら最期の自己紹介かもしれない。

 俺の名前は割徒興。名前の通り、毎日割と凶な運勢をしている十七歳だ。そして今気絶している少女が長良優。俺の幼馴染だ。優は「興の側にいれば私には不運は訪れないから、これからもよろしくね」などと堂々と宣う程度の強かさと強さを持つ少女だ。

 確かに基本的に俺は不運だが、その不運のキッカケは大抵優だったりする。

 今回だってそうだ。今回だって恐らく、登校中に優が言った。「あー、どっか異世界とかに言ってみたいなぁ」という台詞が何かしらのキッカケなのだ。

 まぁ、そうなると俺が無理を言ってライトノベルを勧めたら、思いの外ドハマリしてしまったことが原因なのだからまわり回って俺のせいとも言えるのだが。

 ――閑話休題。そろそろ余計なことに思考を回して現実逃避するのを止めよう。そろそろ現実を見よう。

 そうだ。こういう話の場合、大抵湖に落下したり、魔法か何かの力で大体無事になるじゃないか。何を焦っているのだ。大体、異世界に落ちた時点で非現実的なのだ、そういう奇跡が起きたって不思議じゃ――。

 と、現実逃避を止めようとした途端に現実逃避をし始めるくらいには混乱していた。混乱していたし何となく察していた。

 不運な俺が、そう都合よく無事に済むはずがないのだと、そう半ば確信していた。

「あー、もう、せめて優だけは生きてくれよッ!!」

 空に向き合って優を抱える。そして地面に落下する寸前、俺は優を全力で真上に投げ飛ばした。

 俺が優を上向きに投げ飛ばす力と重力によって下向き増加していく力。打ち消すことは出来ないが、減速くらいは出来る。そういう浅はかな思考で俺は優を投げ飛ばした。

 投げ飛ばして、そして気付いた。

 どう考えても俺の力ではない他の何かによって、優の落下速度が露骨な減速を見せていることに。

「あっ、これって、俺が優に捕まってたら助かってたパティーン……?」

 後悔はもう遅い。俺と優の距離はドンドンと引き離される。

 さて、改めてもう一度。全力で叫ばせてもらおう。

「不運だぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! くぁwせdrftgyふじこlp」


ストレス発散の為に時々書いていきます。書かないかもしれません。

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