夏の空
針の擦り減ったスパイクで100mを走る
何度も 何度も
スタートの感触と
蹴り上げたひざの高さを確かめながら
----あの頃 タイムを上げることばかりを考えていた
大会の2次予選さえ通過できないくらいなのに
何故 あんなにも一所懸命だったのだろう
疲れても 脚が痛くなっても
走れば何とかなると思っていた----
Tシャツに熱気がこもる程 走りきって
肩で息をしながら 半ば諦めがちにタイムを尋ねる
後輩のマネージャーが気迫に押されてか
いつもとは違い 遠慮がちにタイムを答える
やはり 課題は強靭なまでの体力とセンス
秋の最後の大会までには
自分の記憶に残るような走りができるだろうか・・・
練習の終了の合図で
ふと
空を見上げた
哀しみなど入る隙もない
青く 遥か遠くまで見渡せるような
夏の空を