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天竜の住まう大地  作者: 蜂村どぉ
第一章
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第一章─金色の少年─5

 日が沈みかけ、ホービ砂漠は赤い夕焼けに赤く照らされていた。

 綺麗な物だな、とフェニードルは一人呟いた。燃えるような赤い夕焼けが砂漠を照らす様が、何故かフェニードルは幻想的に見え、きらきらと輝いている、世界の宝物のように思えた。

 だんだん日は沈んでいき、赤い夕焼け空を闇に染めるかのように刻々(こくこく)と夜の(とばり)が落ちようとしている。気温は日中と比べて寒くなった 。肌を刺すような直射日光とは違い、身震いする程の肌寒さを覚える。口から吐き出される呼気は白く、まるで冬のような寒さを感じた。

 フェニードルは目的の地であるズーニアについて、自分が記憶していることを復習するように、頭の中で呟き始める。

 ズーニアは高い石壁で囲まれた小国。ズーニアという国が完成した数百年も前の話を、ある村に立ち寄った時に自棄に物知りな老婆から聞いたこともフェニードルは思い出していた。

 ――あの国には古代に編み出された遺産があると私は聞いている。その遺産は、全てを破壊する巨大兵器『ゴーレム』という、岩で出来た固い身体を持つ(たましい)のない動く人形じゃ……――

 フェニードル自身は面白味のない話を半信(はんしん)半疑(はんぎ)で聞き、ただの老人の与太話(よたばなし)だと特に不安感も感じることなく軽い気持ちで返答をしたのを覚えている。レンセントバル国近隣の名前を忘れ去られたほぼ無人の村と変わらない村で出会った、顔を黒いローブで隠した、(しわが)れた声の腰が曲がった、小柄な老婆はズーニアの昔話をしたと思えば、自分のことは何も話さずに老朽化(ろうきゅうか)した民家に消えるように去ったのが記憶に新しい。

 フェニードルは疲労感すら訴えずに走り続けるダルーダに声を掛けた。

「なあ、ダルーダ。もう一度聞くが、後どれくらいでズーニアに着くか分かるか?」

「ギピィ?」

「……やっぱり分からねぇか。高い石の壁で囲まれた国なんざ、一目で見りゃ直ぐに分かる国だよなー。ここの砂漠は本当に広すぎ……」

 悪態をつこうとしていたフェニードルの眼前(がんぜん)に、石で出来た高い壁が見えた。近付くに連れて、門が見える。門の前には、検問でもしている警備員らしき二人の男の姿が伺えた。

 石で囲まれた国『ズーニア』に到着する。広大な砂漠を越えて、目的の地にフェニードルは着き、入国検査を受けた。

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