電車を降りたソコは・・・・
はじめまして、『神崎かつみ』と申します。
今回は、「2回OVL大賞」に応募してみよう・・・などと
トチ狂ってみました(ぉぃ
拙い文章ですが、最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
誰もが憧れたり 夢見たり
いつか そのうちタキシード姿の兎が目の前に現れたりしないものか
――――とかね。
その朝も いつもと変わらず ボクは数冊の小説を 鞄に押し込み
隣街の附属高校へ向かう。
電車を乗り継ぎ 小一時間。数少ないボクの好きな時間だった。
都心から離れて行く為 通学電車も人は少なく 静かに読書に没頭できるからだ。
ボクは本が好きだ。
登場人物達は ボク(読者)を飽きさせる事なく
様々な世界と 多種多様な物語りがボクを魅了する。
その日は 西部の荒野を舞台にした
ちょっとハードボイルドな ガンアクション。
時折ボクは 読書に没頭し過ぎ 降りるべき駅を
過ぎてしまう事も しばしばあった。
だが この通学も二年目 人の習慣的感覚はなかなかに凄いもので
大体のタイミングで顔を上げるのである。
無事に電車の乗り継ぎを済ませローカルな路線へと乗り換え 目的の駅を目指す。
――のだが・・・
奇しくも物語りは 中盤の山場。続きが気になって気になって仕方がない。
このローカル路線は 目的地が終点にあたる。
折り返し運転が始まる前に降りよう。そう もう少しもう少し。
物語の主人公は ヒロインを助けるために盗賊団との決闘に赴いた。
決闘の約束を反故にし 盗賊団達は卑怯にも主人公を取り囲み襲いくる!
それでも次々と盗賊団を早撃ちで 仕留めていく主人公。
痺れを切らした盗賊団がヒロインを盾にする。
あぁなんてベタベタな展開なんだろうか。
でも この作者は読ませ方が上手いなぁ・・・
そんな事を考え 話の先を進めた。
絶対絶命の主人公の窮地。主人公は仕方なく愛銃を地に落とし 両手を上げ溜息をついた。
盗賊団は 主人公を取り囲み一斉に銃口を彼に向け 口汚く叫ぶ。
「死ねやぁぁ!」
甲高く腹の底から響く重低音と共に 銃声が鳴り響く。
だが 倒れたのは主人公ではなく 眉間から血を流した盗賊団。
「はぁ・・・ココじゃ『お仕事』はしたくなかったのになぁ・・・」
そう言って ドレスを翻したヒロインの両手には
美しい装飾の「ピースメーカー」と「ライトニング」
おいおぃ そう来ましたか! あっついなぁ良いな良いな この展開。
もう 普通にヒロインがCOLT・SAAとかCOLT・41とか持ってくるとか
どれだけチートなんだ。いや でも面白いなぁ。
ボクはそれほど銃火器の知識が豊富じゃないけど この二つは知ってる。
それぐらいベタ。でも それぐらいアツイ銃だ。
そこで 列車の折り返しのアナウンスと 扉の閉まるベルが鳴り響く。
ボクは仕方なく席を立ち 列車から降りて そしてまた本の世界へ目をやる。
よく歩きながら本を読むなと 色々な人から言われるのだが
どうにもこのクセは治らない。むしろコレがボクの標準。
稀に壁に突撃してしまったり 段差に躓く事もあるが そこは愛嬌だ。
うん そう愛嬌。そう言う事にしておいてほしい。
物語は ヒロインと主人公の反撃が始まっていた。
ヒロインが叫ぶ。
「「伏せて!」」
ボクは ナゼだかヒロインの声が聞こえた気がした。
没頭するあまり セリフが脳内再生されるとは・・・いや重症。
「だから!伏せなさい! アンタ死にたいの?」
おかしい・・・そんなセリフは・・・ない・・よね?
突然後ろから頭を鷲掴みにされ 文庫本に顔を突っ込まれた。
痛い・・・そんな事をしても物語には入れない。
もしも入れるなら この程度の痛み 楽に我慢して入ってる。
視界は真っ暗。眼鏡は勢いで外れてしまっているし・・・・
というか・・・マズイ。
貧血で意識が・・・・なんだかよく解らないけどカッコ悪いな。
急に女の子?に後ろから押し倒されて 貧血で意識失うとか・・どんだけよ。
――話し声が遠くに聞こえる。
あぁ家に連絡されちゃったかな・・・本読んでて倒れたとか また取り上げられるかな。
嫌だなぁ・・・倒れるのはボクの体のせいで 本のせいじゃないのになぁ
目を開けるのが億劫だ。人と話すのが億劫だ。
このまま少し眠ってしまおうかな・・・・
しかし ウチの学校の保健室のベットってこんなに固かったっけ?
考えたくないな・・・学校以外に運ばれたとか・・・あぁもう・・・
「で、アンタいつまで寝たフリしてるの?」
――あっ・・・どうやら勘のいい人が居るみたいだ。
ボクは観念するように ゆっくりと目を開けた。
「はい・・・起きてます。今起きたところですが・・・」
「そう、まぁいいわ。咄嗟の事だったから盟約もしてないしね。」
そう言った彼女は 美しく長い銀髪のオッドアイだった。
いや むしろその恰好が全てを台無しにしていたのだが・・・・
「あの・・・学校のコスケンの方ですか?」
コスケン―そう「コスプレ研究会」部活なんだか 同好会なんだか知らないけど
とにかくコアな集まりだ。ボクはオタク趣味だが あまり人と群れるのは苦手だ。
ネット上の「お友達」は沢山居るけど リアルでは片手で足りる程度。
そんなボクから見れば コスケンは 実に前衛的なオタク集団である。
「なに言ってるのか全然分からないけど、アンタ名前は?」
「・・・・篠原・・ゆずる・・・です。」
「ゆずる・・ね。見た目と一緒で可愛い名前ね。」
「私は、クリスティン=ケンプフェルト。長いからクリスでいいわ。」
「は・・・はぁ・・・では、クリスさん?その恰好は?」
「「さん」は、いいわ。なんかムずかゆい。で、格好だけどゆずるが倒れて
急だったから、ココに運んで現在に至る。つまりまだ着替えてないだけ。」
「えっと・・・・外でその恰好は・・・どうかと。」
「私からすれば、ゆずるの恰好こそどうかと思うわよ?見たところ何の加護も
無いような・・・そんな部屋着の様な軽装で、いくら咄嗟の召喚だったからって
もう少しマシな装備で出てきてよ・・・・」
うん。この子残念な娘だ。主に「中二病」ってところが。
目の前の娘――クリスさんは ファンタジー色の強目な
ちょっと中世騎士みたいな恰好をしている。
ボクは至って標準的な ブレザーの学生服だ。誰がどう見ても 外を歩く姿として
ボクの方がまともである。
「まぁ・・・設定は分かったから、とろあえず運んでくれてありがとう。
でもって、悪いけどボク学校に行かないとダメなんで、お礼は今度するね」
そう言ってボクは扉に手をかけ 向こう側へ踏み出した。
――――なに?
目の前にあるのは どこかの映画のセットなのか?
文字道理ファンタジー・・・よくあるRPGなんかでお目にかかるような街並み。
ココどこだろう?真面目に思った。
明らかに異風景。だって太陽が二つあるし・・・・何より街ゆく人達は 皆コスプレイヤー。
唖然と立ち尽くすボクの後ろから 声がかけられる。
「ようこそ。我が眷属、我が半身ゆずる。盟約により今日より死す時まで共に。」
え?えぇ?・・・・ちょ・・・ちょっと待ってぇ~
拙い作品をご覧いただきありがとうございます。
文面に「、」を入れないクセがあり、読みにくい事この上ない。
そんな文面ですが、どうか気長にお付き合いください。