三話
今回は、ヴィクトリア=ミーナ視点です。
え!?え?
なんでみんな知らない土地にきて、そんなに警戒心なくいれるの?
ましてや、注意されたばっかなんだよ?
その人は私と同じで周りを警戒しているみたい
なんだろう・・・私、この人のこと知っているのかな?
最初に会った時から何か、懐かしいものを感じる
でも、気のせいよね、ずっと可愛がられていた私、サーラ母様の娘ヴィクトリア=ミーナ
外にも出たことないのに、知っているわけないじゃない
「なあ、お前名前なんていうんだ?」
「!?」
突然、話しかけられた
な、名前・・・そう言えば、まだ自己紹介していない。でも、自分がサーラ母様の娘っていうのは伏せておこう
まだ、この人を完全に信用したわけじゃないのだから
しかし、どうする?名前を変えるのも抵抗がある
どうしよう・・・
「あ、別に話したくないなら話さなくていいぞ?今、お前だけがまともだったから話しかけているだけだしな」
「え?」
私は目を見開いた
私だけ!?騎士団のみんなは!?
女王様を守る女騎士団、私も素性を隠しているけど女騎士団の一んだけど、みんなとは年季が違う
女騎士団設立からいる人もまともじゃない!!
現にミララ隊長も目を閉じている・・・嘘でしょ!?
私は鞘から剣を抜いて、この人に突き付ける
「どういうことなの?なんでみんな目を閉じているの?」
威嚇しながら聞く
この人は、確実に私達女騎士団より魔力がある
ドラゴンを撃退した。そして、扉を召喚した
何もかもがおかしい・・・いや、魔力が多すぎるのかもしれない。この人は・・・
一瞬でも警戒を解けない
もし、解いたならやられるかもしれない
だけど、この人は私を見ずに
「・・・やばいな・・・」
その一言だけ言って飛んで行った
嘘でしょ!?なんで私は見知らぬ土地で一人だけなの?
いや、正確には周りには、ヒルナやシーナがいる
隊長もいるけど、みんな目をつぶって動かない。しかもたったまま
どうしよう、ここで注意されていたモンスターが出てきたら
そう、考えている時だった
「コフーー」
鳴き声が後ろから聞こえた
恐る恐る後ろに振り返ると・・・
イノシシが、立っていた
しかも、棍棒みたいなものを持って
そして、その棍棒を振りかぶり私に・・・
当てるように、振った
ーーーブン!!
とっさに、私は剣でガードをしたが・・・
―――バキン
音を立てて壊れた
この剣は決してもろくはない
ちゃんと毎日手入れをしていた
なのに、一撃・・・私の手もしびれて動かない
足もすくんで動かない
そして、イノシシは私の近くまで来て・・また、振りかぶった
私は目を閉じてしゃがんだ
そんなことで避けれるわけがない
だけど、とっさに体が動いた
なにもできない。こんなところで私は終わってしまうの?
ゆっくりと私にあた・・・
「はいはい、そこまで!!」
え?だれ・・?
――――ドオオオン!!!
近くで爆発音が鳴り響く
どういうこと?
イノシシの攻撃がいつまでたっても来ない
私はいつの間にか目を閉じていたその目を開けたら
イノシシが倒れていた。しかも遠くの方で
あんなにもぶっ飛ばしたのか?
私の近くにはあの人と女騎士団、あと家が建っていた
目をつぶる前にはこんなものはなかった
・・・まさか
「ここまで運んであいつまで倒すの辛かったぞ?」
本当にやったんだ
こんな人間離れの技
すごい・・・なんて人なんだ
「さて、女騎士団とサーラ王妃を家に運ぶぞ?一応、この家、核兵器使われても壊れないからな」
「・・・名前、なんて言うんです?」
「は?」
突然だけど、気になった
学校で一度サーラ母様が言っていたけど、私は後ろの方にいたからよく聞き取れなかった
だから、もう一度聞きたい。この人の名前
「そうだな。今は漆黒の無双って名乗っておくか」
「どういうこと?」
「お前の国ではこっちのほうが有名だからな」
「知らないわよ、そんな名前」
聞いたことがない、そんな通り名みたいなの
どうして、この人は隠そうとするんだろう・・・まあ、いいや
「私の名前はヴィクトリア=ミーナ」
「へえ、王妃様の娘か」
「驚かないの?」
女騎士団のみんなは私の正体を明かすと驚いたのに・・・
なんでこの人は驚かないの?
私は、生まれたことすら隠していたのに
「大きくなったな・・・」
頭の上に手を置かれて撫でられた
気持ちいい・・・ただ、そんな気分になった
「なんで小さい頃のこと知っているの?」
「お前は覚えてないかも知れないけど、一度だけお前と遊んだことあるぞ?」
「え?」
どういうこと?
子供のころ一回も遊んだことはない。いつも勉強や魔法のことをしていた
なのに、遊んだことがある?
「もっとも、お前はまだ赤ん坊だったけどな」
そういうことか・・・でも、私を知っているんだ
何者なんだろう・・・この人
母様に頭を下げさせて、国を助けてくれって言わせたり、ドラゴンやイノシシを倒す力を持っていたり・・・何もかもすごすぎる
そう考えながら、私は目を閉じようとしたけど・・・
「おっと、寝るなら。家に入れ。全員入れといてやるから」
「はい・・・」
私は家に入り、靴を脱ぎ、そして、書かれていた自分の部屋に入って寝た
でも、私はまだ気づいていなかった。この家が見つかって少ししかたってないのに、私の部屋がいつの間にかあることに・・・