二十話
今回は、ヴィクトリア=ミナエラ視点です
「はあはあ・・・」
「はあはあ」
僕達二人息を切らしている
それもそのはずだ
さっきまで化け物のようなやつと戦っていたのだから
・・・僕の本気をものともしなかったな
罠は仕掛けたりもしたがそれにも全然乗ってこなかった
本当に一体何者なんだ?
けど、今は引いてくれたみたいだ
とりあえず、今はこの子達を助けるか
「大丈夫?」
「うん。なんとか」
「寝ているその子も?」
「うん」
よかった
2人とも大丈夫みたいだ
もし、僕が助けられなかったら僕は一生後悔していただろう
だけど、違う
よかった
それしか思うことができない
「よいしょっと」
また、女の子を担ぐ
・・・行くところがないのか?
そう言えば、忘れるところだったけど眠ってたはずなのにどうして起きているんだろう?
「それじゃあ」
「あ、ちょっと待って」
「? ほかに何か!!!!」
「・・・へ?」
子供が僕の後ろに何か見つけたみたいだ
僕は一気に前に飛びのく
・・・よくわからないけど、飛んだ方がいいと思った
僕の悪い予感はよく当たることがある
「ゴオオオオオ!!!!!」
・・・ゴブリンだ
なんだ、ゴブリンかと言える敵ではない
魔物でも力は最高クラスに入るが、僕の敵じゃない
でも、やばかった
当たったら怪我じゃ済まないかも知れない
「やっちゃたな」
「どうした?」
「・・・後で、また眠ってもらうから」
そして、お礼をしよう
さて・・・ゴブリン様は微妙に興奮しているな
やるか
―――シャキン!!
腰に付けている剣を引き抜く
別に本気でやらなくていい
ていうか、爪で攻撃するのはそんなに好きではない
さて、一気にかたずけてパーティーの準備だ
―――ヒュン!・・ブシャアア!!
ゴブリンの胴から下を切り離す
しかし、これだけではゴブリンは死なないが・・・
今は殺さなくてもいい
先にやることがある
「よし、睡眠魔法・・・ってあれ?」
いない
近くにいたはずの子供二人がどちらとも消えた
・・・やられた!!!
「召喚魔法!!幻獣の鎧!!」
また、召喚して鼻で嗅ぐ
・・・まだ、ちょっと鎧は壊れているみたいだ
だけど、鼻の能力は上がっているみたいだ
数キロ先にいるみたいだ
・・・早い!担いでいるのに意外に早い
僕はそう思い一気に走る
あっちも走っているみたいだからちょっと時間はかかるが、数分もあれば追いつける
そして、追いついたら睡眠魔法を使わないとな
また、こんなふうに逃げられたら面倒だから
そして・・・家族にしよう
養子縁組でもなんでもしてあの子達を僕の家族にする
そしたら、狙われる対象が一緒になるからあいつに対抗できるはずだ
お礼にもなるし、一石二鳥だ
そう考えている内に追いついた
「!!!」
「ハロー!」
「重力の魔法・・・」
「睡眠魔法・・・レムレム!!」
間一髪僕の方が速く唱えることができた
そして、子供はそのスピードのまま・・・・
寝た!!!!
「危ない!!!」
―――ガシッ!!
こけそうになる一歩手前で引っ張る
しかし、全然スピードは落ちない
やばい・・・このままだと大けがをする
僕はなんとかスピードを止める方法を考える
・・・だけど、浮かばない
僕は仕方なく子供二人に抱き着いた
転がってしまう
・・・自分がけがするのは仕方ないかな?
僕は子供二人をお腹の方にやる
その瞬間・・・背中が地面とこすれる
・・・痛い!!!
だけど、もういい
痛い思いをするのは僕だけでいい!!!
―――――ゴロゴリゴリ!!!
幻獣の鎧が完全に砕けた
・・・そして、幻獣の鎧・・・いや、着物は完全に破れたは男の子の方を包み込んだ
移り変わった
一子相伝の魔法が移り変わった
そうか
幻獣の鎧はこの子に移ったか
さて・・・この子にはどんな魔法になるのだろう?