十八話
今回は、ヴィクトリア=ミナエラ視点です
ふう、退屈だな
そんなことを僕は考えていた
僕の名前はヴィクトリア=ミナエラ
出身地はラーシャ王国でその王だ
生まれながら将来が決まっている
そんな生活を先月まで送っていた
・・・先月やっと両親が死んでくれて自分の好きな人と結婚してくれた
両親が死んでくれてうれしいと思うのは、不謹慎だと思うしそんな両親は僕は好きだったけど・・・
ずっと、反対していた両親だったからそんな気持ちが生まれた
だから、僕は気分転換に魔界に来たのだが
今、異様な光景に立ち会っている
魔界軍の竜部隊みたいなのがそこらへんにのたうちまっている
そして、幻術の魔法香りがする
僕は生まれながら魔法に匂いを感じていた
どんな魔法にも匂いがあるから、僕はわかった
だけど、竜部隊のこの数を全部に幻術の魔法をかけたのって誰だ?
興味がある
僕の国でもそんなことができるのは僕ぐらいだ
・・・探ってみるか
「召喚魔法・・・幻獣の鎧」
この鎧は、軽くて獣みたいに早く動くことができる鎧で特殊効果も持っている
鼻を敏感にすることができるし、念じれば一定時間消えることができたりもする隠密行動にはもってこいの鎧だ
さて・・・この幻術を掛けたやつの匂いを嗅いで見つけ・・・あれ?
近くに子供の・・・いや、子供じゃない!?
二つ匂いを感じるけど、一つの匂いだけ何かおかしい
人間じゃない?いや、魔物も違う
どういうことだ?一つは人間なのに・・・
「確かめるしかないか」
そう、呟きながらにおいの元に一気に近づいた
近くに岩陰に隠れていたけど、匂いは消してない
岩を破壊して、正体を見る
「・・・え?」
「しまった!!」
黒い鎧に包まれた男の子が少女を抱えて隠れている
どういうことだ
2人とも見た目は子供・・・だけど、黒い鎧に包まれた子供の方は違う
なんだ?この匂いは?
魔力は莫大なのはもうどうでもいいかもしれない
おかしい
僕の本能が警告をする
逃げろ・・と
「スラッシュ!!」
――――ブン!
目の前の少年が片手で持っていた剣を僕に向けて振る
僕は反射的に避けるが、間に合わず頬がちょっとかすれた
後ろの岩が砕かれた
・・・まじかよ
王育ちの僕でも避けきることができないし、片手でしか振っていない
ましてや、少女を担いでいるのに・・・
この少年は敵意むき出しでこっちを見ている
警戒をしている目だ
・・・本気でやるしかないかな
僕はそう思い消えるよう念じようとしたが・・・
「はあはあ」
・・・少年はすでに息が切れかかっている
やっぱりこの少年がやったのだな
その核心は持つことができた
それと、この子が子供だっていうことにも
「来るな!近づいたら僕の剣で・・・」
「はいはい。睡眠魔法・・・レムレム」
「あ・・・zzz」
寝た
・・・目の下が熊だらけだった
多分、この数日間ろくに寝ていないのだろう
いや、もしかしたらそれ以上寝ていない
しかもその理由が微笑ましい
抱えている少女を守るためだけなんて・・・
幻獣の鎧を着た僕の鼻はものすごい、それこそ汗をかくだけでそいつが何を考えているかわかるぐらいに
だから、わかった
この子が何をしたいのかを・・・
・・・とりあえず、今は寝させておこう
そうだ、サプライズでこの子が目覚めたらもう魔界じゃないって言うのはどうだろうな?
僕は少年と少女を・・間違えた少年の姿をした何者かを連れて帰ることにした
起きたら、魔界って言うのはやめておこう
そこらへんは、ちゃんと話さないと・・・
そう、思いながら少年が起きるのを待つことにしたが・・・
「いたああ!!!!」
「!!!」
――――ドオオン!!!」
地面が・・・切られた
僕は間一髪少年と少女を抱いて避けた
「何もだ!?」
「ああ?そんなことどうでもいいだろ・・・殺させろよ」
「!!!」
―――ガキン!!
黒い鎧に包まれている男と刀を交えるが・・・押されている
・・・クソ!!
魔法石を埋め込んでいる僕の剣は徐々に切れ込みをいれられている
やばい!
魔法石がなければ魔法は使えなくなる
しかし・・・
「どうして僕に戦いを挑む!!?」
「そうだなぁ・・・お前が勝手に死んだからだよ」
「・・・僕が死んだ?」
訳が分からない
僕は生きている
そりゃ、ずっと生きるなんてことはできないけどまだ生きている
なのに、この男は死んだと言って向かってくる
――――ブン、ブン、ガキン・・・ブン
早い太刀筋に重たい攻撃
この男、強すぎる
しかも、幻獣の鎧を着ている僕のスピードに余裕で付いて来る
何もなんだ・・?この人間・・え?
まただ
この男も匂いがおかしい
いまだに剣を振ってくる男はにやけ続けている
僕の鼻がおかしくなったのか?
でも、少女の匂いはちゃんわかったし、少年が眠たいのもわかった
・・・一体、何が起きているんだ!!!?
世界は確かに広い
それこそ、僕の知らないことばかりだ
けど・・・こんなこと常識外れだ
だけど・・・勝てないこともない
「幻獣の魔法・・・」
「お!!やっとか、ならこっちも、黒魔の魔法・・・」