十話
今回は、ヴィクトリア=ミーナ視点です
やばいかもしれない・・・
最初に会った時よりも剣吾さんの魔力がどんどんなくなっている
逆に、比例するように偽物の方の魔力は上がっていっている
このままだったら、負けてしまう
今は、剣吾さんがずっとスラッシュを使いまくっている
・・・前に言っていたスラッシュだけが魔力を消費しない技だって・・・
もう、魔力に余裕がないみたいだ
けど・・・偽物の方はなんで一回も魔法を唱えないのだろう・・・
今だってそうだ、吹っ飛ばした騎士の剣を扱ってスラッシュを防いでいる
何か事情があるのかも・・・
そう思い行動した
「はあぁ!雷撃の魔法・・・天激!!」
この魔法は雷の系統で一番、早く、ダメージもそこそこある魔法だ
これなら、距離をある程度とっている剣吾さんにも当たらない
「バカ!!やめろ!!」
剣吾さんから止める声が聞こえた
―――――バリバッリ!!
「ウガアアア!!!!」
命中した・・・けど・・・
「うああああ!!!!」
剣吾さんにも電撃が走った!!
なぜ!?
「剣吾さん!!」
「来るな!!」
「残念・・・遅い!!」
剣吾さんに向かって走り出した私の目の前に偽物が現れる
偽物が剣を私に向けて振った
・・・当たる。避けようもない・・・
しかも、偽物は狙ったかのように笑っている
・・・くやしい。こんなやつに殺されてしまうなんて・・・
――――ズバッ!!!!
・・・あれ?
切り裂かれる音がした・・・けど、私が切り裂かれた音じゃない
――――ドン
何かが地面に落ちたような音がした
いつの間にか目を閉じていた私は目を勇気を持ってあけた
そこに移った景色は・・・
鬼の顔・・・ゴブリンが私の代わりに切られいる姿だった
「邪魔をするんじゃねえ!!」
偽物が鬼のように怒った顔で剣を持っていない左腕で、ゴブリンを殴り飛ばした
――――バゴ!!
「ゴブリン!!」
後ろでヒルナの声が聞こえた
そして、ゴブリンの体は淡く光りだし消滅した
「・・・っチ、めんどくさいな・・・魔法で一気に殺させてもらうか」
そう言って、小さな声で偽物は詠唱を始めた
「雷撃の魔法・・・天激!!」
ついさっき、私が使った魔法が私に襲い掛かる
避けれない・・・死んでしまう、ダメージも相当な量があるはずだから・・・
・・・私はこんどこそ覚悟して、目をゆっくりと閉じたが・・・
「させるかよ!!!!」
また・・・同じように今度は剣吾さんが私の目の前に盾となろうとしていた
・・・いやだ・・・私が死ぬのはいいけどこの人が死ぬのは・・・
絶対に嫌だ!!
「雷撃の魔法!!天激!!」
剣吾さんが私の盾になる前に、私は魔法で抵抗した
多分、一秒も稼ぐことはできない・・・そう、確信しながら・・・
「召喚魔法・・・ケルベロス!!」
「鉄の魔法・・・ビックランス!!」
後ろから聞こえた・・・ヒルナとシーナだ
それぞれ、別のことをしている、シーナはビックランスを偽物の天激に当てた
ヒルナはそのまま、後ろから偽物にケルベロスをぶつけるみたいだ
――――ドゴオオオオン!!!
「くそ!!相殺か!!」
「甘い!!後ろにはまだ私達もいるんだぞ!!」
偽物の方から聞こえた・・・どうたら、ミララ団長は気が付きケルベロスと一緒に襲い掛かっているみたいだ
勝てる!!!その望みがでてきたと思った時だった
「さて・・・ここで、名残惜しいがフィナーレだ!!」
――――ドオオン!!
また・・・爆発音が聞こえた・・・相殺とかじゃない誰か単発でやったみたいだ
そして・・私は感じた・・・
嫌な魔力を・・・二つ・・・一つは、あのピエロみたいな魔力
もう一つは・・・別の方向・・剣吾さんがいたほうから弱弱しくも、完全に光ではない・・ただの闇の魔力を・・・