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やり直した先の未来に、あなたが隣にいなくても【仮】  作者: 三愛 紫月


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11/11

やり直すのか?

ーーキーンコーンカーンコーン


 目覚めた俺の光景に映ったのは、制服姿の人達だった。

 


 やり直しに来たって、ことなのか?



「うとうとしてたけど、もしかして寝てた?」

「む、六月」

「えっ?俺、自己紹介したっけ?」

「い、いや。間違えた、ごめん」

「ヤバい。初日から、注意されないようにしよう」


 六月が言って、前を向く。

 って事は、母さんはまだ生きているということ。


 母さんが亡くなったのは、2年の終わり。

命の選択……。

 俺は、また苦しむのか?

 悲しむのか?


 今日は、入学式。

 俺と六月が仲良くなった日。


 五月の運命の相手って、もしかして?

 いや、もしかしなくてもそうだ。


 だって、俺も。


ーードクン。


 胸が高鳴るのを感じる。

 これが、人を好きになることだと知った。

 その姿を目で追ってしまうのは、()()()()()()


 だけど。

 それは、今の俺だろ?


 入学式が終わり、教室に戻る。

 その瞬間に、五月を探す。

 この時なら、絶対に生きてる。

 

 横顔が見えた。

 やっぱり、生きている。

 よかった。

 よかった。


『ママには内緒だよ。パパが全部覚えていること。言ったら、終わっちゃうから。全て』


 最後にあの子に言われた言葉が、頭の中をこだまする。

 言ったら、終わり。

 終わりってことは、五月も俺も死ぬってことだ。

 それなら、嘘をつくしかないか。


 やれるかな?

 いや。

 やるしかないんだ。


 五月が生きていたことに安心して嬉しいのに。

 この頃の俺の心臓の鼓動は早くならない。

 理由は、わかっている。

 俺が好きなのは、三月だからだ。

 

 三月を好きなのは、ひとまず置いといて。

 パラパラとページを捲るように時間が過ぎて行く。


 五月を探さなきゃ!

 過ぎて行く日々の中で、五月を探す。


ーー見つけた。


 五月は、たぶん記憶を持っている。

 俺と過ごした日々の記憶。

 だから、傷つくのはわかっている。

 わかっているけど。

 進むしかないんだ。

 だって、もう後戻りは出来ないから。


 五月を泣かせてしまった。

 確か、こっちに走って行ったよな。


ーーガラガラ


 運命は、こっち何だな。

 神様が意地悪しなくたって、ちゃんとわかってたから。

 視界に映る五月と六月。

 お似合いだよ……二人はちゃんと。


 男だから。

 泣くな。

 五月の人生を終わらせない。

 やりきってみせる。

 だから、六月がちゃんと支えてくれよ。

 そうじゃなきゃ、俺は……。


 俺が三月を好きなことをこのタイミングで五月が話したってことは、前に進むって決めたって受け取っていいんだよな、五月。

 

 

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