なんだなんなのだ
「替えの電球を持ってきてくれるって話だったよな」
「ええ、そうですね」
「一体これはなんなのだ!」
「なにって電球ですけど」
「そうじゃなくて、なんでそれに足が生えてるのかだ!」
「足、生やしちゃいけませんでしたか?」
「ああ!もちろんだとも。口金の部分にこんなのがあったらソケットに入らないだろう!」
「でも、ソケットに入れなくても光りますよ?ほら、こうやって」
こつん
ぺかー
「あ、ああ…だがな?光りはしたが、天井に取り付けられないだろう?」
「それも大丈夫です。足の力が強いので十年間はぶら下がれます。ほらこうやって」
「…いや、すまない。最初の段階で言うべきだったのだが…」
「なんですか」
「無理なのだ。妙に生々しい足がそこにあると意識するとどうしてもダメなのだ。すね毛も生えてるし」
「最初に言ってくださいよ、それ」
「できれば機能面で諭したかったのだ…見た目で判断する心の狭いやつだと思われたくなかったのだよ…」
「まあ、であれば仕方ありませんね。電球さん、撤収です」
オウヨー
「っ!?喋ったぞ!なんだこいつは!?」
「?最初に言ったじゃないですか、電球だって」
デンキュウダゾー
「いや…ああ、うん、そうだな、そうか…」
「では、これにて。ありがとうございました」
「ああ、その、ありがとな。気持ちは伝わったから」
「今度はまた別の持ってきますね」
「なんだ、次は一体なんなのだ!」
完