表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/97

69.過去の恩義と母の教え

 過去の恩義については、クロエが知っていた。首を傾げて尋ねたら、呆れ顔をされる。自室でよかったわ。外なら、人目が気になるもの。


「姫様は歴史の授業をサボったのですか?」


「きちんと受けたけれど……まだ近代まで辿り着いていなかったの」


 六代前の歴史までは学んだのよ。そう告げると、その先を教えてくれた。アルドワン王室はルドワイヤン帝国の末裔だ。そのため、近隣国から尊敬の念を集めてきた。しかし六代前の国王陛下は、不安を覚える。


 このまま、過去の栄光に縋って、その糸が切れたら? 太い縄だと思っている繋がりに疑いを持った。一つのきっかけがある。


 アルドワン王国から流れる川が、ヘンネフェルト王国の方へ流れていた。大きくゆったりと蛇行する川は、ある日大雨で増水し、下流のヘンネフェルト王国を襲う。普段から付き合いのある隣国の災難に、慌てて支援を送った。その際に使者が漏れ聞いたのは、上流のアルドワン王国が木材を切り出した話だ。


 川に架かる橋を修復するため、大量の木を伐る。ごく当たり前の行動だが、それによって土砂崩れが発生した。大雨で増水した川に、突然流れ込む大量の土砂は川を溢れさせる。


 下流の災害を引き起こしたのは、アルドワン王国。そう考えた当時の陛下は、詫びとして復興に必要な費用を負担した。その上で、被害を受けた隣国へ謝罪し、数年間の食料を援助したのだ。


 悪意を持って恨みを募らせた隣国の民も、数年の支えに感謝した。その後、諍いもなく二つの国は同盟関係を維持している。この教訓から、周辺国が困ったときは手を差し伸べる決まりができた。


 大陸の穀物庫と呼ばれるほど、豊かな農地を持つアルドワン王国は災害が少ない。飢饉で苦しむスルト共和国へ大量の小麦を援助したのも、その施策の一環だった。二代前、お父様のお祖父様の代で行われたらしい。


「今回は恩返しだったの?」


「偶然かもしれませんが、王弟殿下はそうお考えのようです」


 直接戦場で顔を合わせたわけじゃないので、推測だ。でも、そう考えた方が素敵ね。偶然攻めてきた話より、何倍も好きだわ。


「ロラン帝国には援助したことがないのかしら」


 ふと気になった。周辺国というなら、国境を接する帝国とも接点がありそうだけれど。すると嫌そうに眉を寄せ、クロエが口を開いた。


「かの国は恩知らずです。四代前も三代前も、バッタによる食害で援助しました。でも彼らはもっと寄越せと要求したそうです」


 バッタ……稲や麦の収穫寸前に大発生すると、とんでもない被害が出るのよね。二度も助けたのに、攻め込んできたの? 恩知らずと言われても反論できないわ。


 モンターニュ国は遡ると、別の王国があった。あまりに重税を課すため、民がアルドワンに逃げ込んだ話を聞いたことがある。前の王家を倒したエル様のご先祖は、正しかったのね。


 ふと、お母様の言葉を思い出した。誰かを助けるときは、見返りを求めてはダメ。返してもらおうなんて醜い考えは、悪いことよ。幼い頃から何度も聞いたけれど、本当にその通りだったわ。返ってきたら、幸運と思うくらいでいいみたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ