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【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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63.戦う前の情報集め

 気を失うようにして意識を失った私は、目覚めたら……何も見えなかった。驚いて声をあげたが、すぐにクロエが説明してくれる。泣き過ぎて腫れた瞼が、目を覆っているんですって。


 冷たいタオルで冷やしたけれど、まだ腫れている。手を伸ばしたら、大きくて温かい手に包まれた。ゴツゴツしていて、すぐに理解した。


「エル様」


 疑問系でない断定に、「当たりだ」と笑う声が返った。私の意識がなかったのは半日ほど、その間にいくつか報告が入ったと話してくれる。


「知らないと怖いだろう?」


 気遣いが嬉しかった。こくんと頷いたら、頭を撫でているみたい。報告は三回で、最初は敵の規模だった。モンターニュ国は新興国なので、周辺国と戦って領土を勝ち取ったばかり。周囲の情報はまだ収集しているそう。


 ロラン帝国とは二回戦って、二回とも勝っている。だからモンターニュではなく、隣のアルドワンへ侵攻したのだろう。エル様の予測を聞きながら、ちょっと複雑な気持ちになった。歴史が古いだけで、うちの国って弱いのよね。


 多少は武装した方がいいのかしら。今回みたいに、狙われるたびにエル様に縋るわけにいかない。今度、父に進言してみようと決めた。


 二つ目の報告は、周辺国の動きだ。私が嫁ぐことで、戦上手なモンターニュと同盟関係になった。その話を知っているかどうか。ロラン帝国は知らなかったみたい。様子見を決め込んだ国や、慌てて助ける準備を始めた国など。その動きは大切な情報らしい。


 最後の報告は、なんとアルドワン王国の国境警備兵からだった。国境付近で不審な動きをする兵に気づき、展開するロラン帝国の陣地を発見する。その場所を教えるため、伝令を出したの。


 普段はのんびりしている国境警備兵だけど、焦ったみたいね。駆け込んだ兵を休ませ、明日には帰すと聞いた。声をかけてあげたいけれど、明日までに目の腫れが引くかしら。


「教えて頂き、ありがとうございます」


「知らないのは、想像ばかりが膨らんで怖いはずだ。アンを不安にさせる気はないからね」


 戦い方は知らないし、手伝えることもない。でも、エル様が帰る砦を守るのは、私も手伝えると思うわ。そう伝えて、頭を撫でる手を辿って抱きついた。


「必ず戻る。出発は明日の昼にした……ここで待っていてくれるね?」


「はい。エル様や軍の皆様が傷つかないよう、必ず勝てるよう、神様にお祈りして待っています」


「それは効果が高そうだ」


 嬉しそうに笑うエル様だけど、明日にはいなくなってしまう。準備もあるから忙しいのよ。分かっていても、離れるのが辛くて……結局、長い時間引き止めてしまった。


「姫様、早く冷やして、明日は綺麗な顔でお見送りしましょうね」


 クロエにやることを示され、大きく頷いた。セリア達も手伝ってくれ、交代でタオルを当てて冷やす。あんなに泣かなければよかった。

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