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【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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57.責任って難しいのね

 子猫を飼う許可はすぐに貰えた。私がエル様にお願いする間に、クロエが猫にミルクを与える。猫を飼った経験のあるデジレは、トイレを準備してくれた。


 お腹いっぱいになった子猫は、汚れた体をお風呂で洗われる。意外にも大人しくて、お風呂は嫌いじゃないみたい。洗ったセリアが上手なのかも。セリアとコレットが二人がかりで拭いて、ふわふわになるまでブラシを掛けた。


 私ももちろん手伝ったわ。子猫を拭く作業も、ブラッシングも楽しかった。夢中になっていたらお昼を食べ損ねてしまい、エル様に叱られる。


 猫もいいけれど、まずは自分のことをしてからだ! もっともよね。料理も冷めてしまい、申し訳ないことをしたわ。セリアに付き添いをお願いして、厨房できちんと謝った。温め直しのお礼も忘れていない。


 運んでくれる侍従や侍女、待たせてしまったエル様にも。使用人に謝るなんてと、皆は驚いたけれど同じ人間よ? お礼もお詫びも忘れないのが、最低限の礼儀だわ。


 私がエル様と遅い昼食を摂る間に、子猫はおしっことうんちを済ませ、ご機嫌で部屋を探検したようだ。話を聞いて元気なら良かったと笑った。名前はまだ決めていない。


「何がいいかしら」


 捕まえた子猫をひっくり返し、デジレが「雌ですね」と教えてくれた。女の子なら、可愛い方がいいかな。でも、凛々しい名前も捨て難い。


 洗っても毛の色は変わらなかった。灰色の部分は汚れと判断され、セリアが二度洗いしたの。落ちていないと思ったのね。乾いたら、白い毛皮にグレーの縞模様が浮かんだ。なんて言ったかしら、ほら……こういう動物が図鑑に載っていた。


 思い出せないと、歯に何か引っかかったような変な感じがするわ。あとで図鑑を調べてみよう。目の周りも綺麗になったので、今はぱっちり開いている。空のように明るい青だった。


「何がいいかなぁ」


 呼びやすさを優先したら短く「エマ」や「ララ」、毛の色から「ブラン」もいい。いっそ長い名前にして愛称で呼ぶのはどうかしら。考え始めると楽しくて、名前候補を紙に書き出した。


「姫様、長いお名前はどこかのご令嬢と重なる可能性が……」


「あっ、そうね」


 リストから「マリアンヌ」や「ローズモンド」などを線で消した。この辺はご令嬢の名前としてよく聞くから、やめておこう。指摘してもらってよかったわ。


「名付けは明日になさいませ。聖人の記念日ですから、明日の方がいいと思います」


 早く寝なさいとクロエが紙を取り上げた。夕飯を過ぎて、お風呂に入ってもずっと考えていた。そのせいか、ベッドに入っても、頭の中で名前が踊っている。子猫はデジレが預かった。


 子猫ってお腹が空くと、夜中に鳴くんですって。知らなかったわ。侍女が交代で面倒をみると決まり、申し訳ない気持ちになった。全部自分で世話をできる気でいたのに、ほとんど任せてしまった。


 責任って難しいのね。

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