表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/97

47.王宮から急いで離脱

 議場で誰も反論しなかった。これが判決を確定させる。後で何を言っても抗議は無視されるわ。だって、人前で言えない根回しに該当するもの。


 それに根回しって、後じゃなくて先に手を打つべきよね。そうならないよう、誰かが助けの手を差し伸べる形を整えてこそ、品のいい根回しだわ。エル様のように……。退場してすぐ、廊下で抱っこされてしまった。


 控え室に戻るのかと思ったら、私を抱えたまま客間のある方角へ……。あれ? それとも違う。いつの間にかクロエやセリアは消えているし、何が起きたのか。きょとんとする私を抱いたエル様に、後ろから王妃殿下が声をかけた。


「アンジェル姫、私達はあなたを歓迎しているのよ。フェルナン殿下がこんなに大切にする姫君ですもの。また遊びにいらしてね」


 大丈夫です。真に受けて浮かれたりしません。これはきっと『同盟のために今後も仲良くしてほしいわ。わかるでしょう?』という念押しだ。王侯貴族の婉曲な表現については、お母様に翻訳指南を受けているの。


 実家に言いつけないでね、も含まれると思う。会釈してエル様の肩に頭を寄せた。綺麗な黒髪に手を触れる。階段を降りたエル様は、そのまま馬車に乗り込んだ。走らせるよう命じるから、慌ててしまう。


「クロエ達は!?」


「馬車を手配してある。君の荷物をまとめたら追いかけてくるよ」


 ほっとして力が抜けた。エル様はどうしても、私を王宮に置きたくなかったみたい。国王夫妻は別だけれど、あの騒動の後で他の貴族が面会を求めるのではないかと。確かに渦中の人だったし、気になっている人はいるはず。


 侍女や護衛を置いても、相手の爵位によっては突破される可能性もあった。常にエル様が一緒にいるのが安全だけれど、さすがに未婚なので同席できない場所もある。公爵邸となる予定の屋敷なら、他者の訪問は門の外で遮断できた。


「不快な場に同席させて悪かった」


「いいえ。私が望んだんですもの」


 陛下と飲んで一晩泊まったことも後悔していて、今後は気をつけると言われたけれど。兄弟仲良しなのはいいことよ。しょんぼりした様子のエル様は幼く見えて、弟みたいで可愛いわ。弟も妹もいたことないけど。


「エル様、明日はお庭で一緒にお昼を食べましょう。それで帳消しです」


「……それでいいのか?」


「ええ」


 大人びた仕草を真似て、エル様の手を自分の頬に当てた。お姉様が言うには、これで婚約者がイチコロだったとか。エル様にも効果があったようで、嬉しそうに笑ってくれた。


「明日が楽しみですね」


「ああ。仕事も砦に置いてきたから、ゆっくり過ごそう」


 頷いた後で気づいた。それって帰ったら仕事が山になっているのでは? かつて夏休みに同行したお父様が、城に帰ってうんざりした姿で処理していたわ。懐かしく思いながら、もし同じ状況ならお菓子を差し入れようと決めた。あの時のお父様はすごく喜んでくれたもの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ