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39.王族として立派な方ね

 マルノー侯爵家のご令嬢の騒動は、あっという間に王宮内に広まった。というか、エル様が故意に広めたのでは? と思っている。だって翌日に、下働きの子まで知ってるなんておかしい。一般的には伏せられて、表に出さず処理されるはずだから。


 貴族令嬢や令息が起こした騒動は、家の名誉にかかわる大事件だ。議会のないアルドワン王国と違い、このモンターニュには貴族院がある。学院みたいな名前だけれど、貴族が会議をして議案を提出したり議論をしたりする場だった。これは王族教育で習ったわ。


 貴族院が動く前に、処罰を軽く出来ないようにエル様が動いたんじゃないかな。侯爵家ともなれば、伯爵や子爵の中には媚びを売る家もある。経済規模が大きいから、処罰の余波を恐れる寄り子貴族もいるはずだった。彼らの意見に左右されないよう、手を打ったなら納得だわ。


 結構勘違いする人も多いけれど、未婚で家に属する令嬢や令息は、正確には貴族ではない。貴族の子どもというだけ。嫡子でさえ、跡を継いで初めて貴族扱いだった。逆に考えるなら平民でも、貴族の妻になれば貴族夫人なのよ。だからどこまで行っても貴族の子は「貴族の子」だ。本人に爵位はなかった。


 王族は違う。生まれながらに爵位を持ち、王族としての地位も確定していた。私だってアルドワン王国の女伯爵の肩書きを持っているわ。今後使う予定はないけれど。


 もし国内の貴族と結婚し、夫の爵位が低い場合や跡取り以外なら、伯爵位を使うことになる。王太子であるディオン兄様だって、第一王子だった頃は爵位を持っていたんだもの。その辺の違いを理解しない貴族の子は多かった。


 あの女性が勘違いしたのも、親の爵位を自分の権力と思い込んだせいでしょうね。同情はしないけれど。


「エル様は王族らしい方ね」


 私の呟きは賞賛のつもりだったが、セリアとデジレが焦った様子で擁護する。


「いえ、お優しい方だと思いますわ」


「そうです、姫様のことをとても大切に」


「大切にするのは当然です。アルドワン王国の末姫様ですので。そうですね、今の姫様の言葉を訳すと、王族らしい立派な方ね、となります」


 二人の反論を上から押さえ、なぜかクロエに翻訳されてしまった。私の使ってる言語、ちゃんとモンターニュ語で合ってるわよね? 誤解されそうだった、って意味かしら。


「エル様のような殿方に嫁げるなんて、私は恵まれているわ」


 誤解されないよう、言葉を付け足した。見た目も好み、優しくて王族らしい気品もあって、公爵領は栄えている。全てにおいて完璧な男性っているのね。


 政略結婚だけれど、いつか奥様として認められたいわ。エル様に惚れてもらえるよう、立派に振る舞わなきゃ!

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