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【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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25.お祭りの話をたくさんした

 道中、エル様はモンターニュ国のお祭りを教えてくれた。鉢植えの花を抱えて「末長くお願いします」と差し出して告白するお祭りは、何だか楽しそう。複数の人が同じ人に告白したら、好きな相手からだけ鉢を受け取るんですって。その後、結婚式まで枯らさず育てるのよ。


 ワイン祭りは空のグラスを手に、あちこちのお店を訪ねるの。ワインを注いでもらったら、その場で飲み干すのがマナーみたい。ワインは無料で提供され、お店の前に空になったワインの瓶を並べる。その数が多いと、良い一年になるとか。


 大量の服を着込んだ男性が練り歩き、素敵だと感じたら女性が何かを一つずつ奪うお祭りもあるの。ボタンだったり、首のリボンタイだったり。上着を奪う人もいるそうよ。全部脱がされる前に、神殿に逃げ込むので足が遅いと不利ね。


 様々なお祭りの話は楽しくて、そのお祭りで伝わる失敗談や成功体験も聞いた。エル様が話し上手で、ずっと聞き入ってしまったわ。


 途中で休憩した草原で昼食を食べる。再び走り出した馬車で、アルドワン王国のお祭りを私が紹介した。


 麦の穂をいかに早く綺麗に落とせるかを競うお祭りや、奥さんを背負って旦那さんが走るお祭り。芋を掘って量や重さを競い、最後は皆で焼いて食べるお祭りもあった。


 こうやって並べてみると、両国の違いが明らかだわ。アルドワンは農業関連で技術を競うお祭りが多い。モンターニュは娯楽に近いお祭りばかりだった。恋愛やお酒など、民を楽しませるイベントね。


「今日はここに泊まる。安心してくれ、親友の屋敷だ」


 強盗に襲われたり、事故に遭ったりせず、無事に辿り着いたのは貴族のお屋敷だった。荷物は全部下ろさず、必要な分だけトランクで運ぶ。荷物を作るときに分けてくれたらしい。こういったところはクロエに感謝ね。


 エル様が付けてくれた三人の専属侍女のうち、セリアとデジレが一緒に来てくれた。コレットは到着する予定の荷物を受け取って、整理してくれるみたい。お土産を買って帰りましょう。


 エル様のお城に帰るという言葉が、自然に浮かんだ。なんだか擽ったいわ。


 迎えてくれた男性は、エル様より年上みたい。隣に奥様もいて、とても綺麗な人だ。丁寧に挨拶をして、屋敷の玄関ホールを抜けた。一般的な貴族のお屋敷にしては、華やかな気がする。


 口に出すのは失礼だから、後でクロエにこっそり話そう。エル様は廊下を歩き始めると、いつも通り私を抱き上げた。


「エル様、歩けます!」


「知らない屋敷で逸れたり、転んだりしたら大変だ」


「でも……」


 幼子に対する扱いみたいで、恥ずかしい。むっと唇を尖らせて抗議したら、指先でぷすっと戻されてしまった。


「私の可愛いお姫様、悪いが好きにさせてくれないか?」


 殿方が下手(したて)に出たら、大人の女性は譲るものよ。お母様の教えを思い出した。あの言葉は私ではなく、カトリーヌお姉様へ向けたものだったけれど。今回も適用していいわよね。

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